戦後を代表するクラシック音楽評論家のひとりと言ってもよい、宇野功芳さん。その歯切れのよい評論と、「この曲の名盤といえばブルーノ・ワルターに指を屈する」のようなわかりやすさは読んでいて小気味よいものでした。2016年に亡くなるまで『レコード芸術』誌への評論の寄 ...
カテゴリ: ヴァイオリンのこと
ストラディヴァリウスの値段はなぜ上がる? 美術品・投資対象としての価値とは
つい最近(2025年2月)、ある音楽大学が所有していたストラディヴァリウスをNYのサザビーズというオークションで競売にかけたところ、およそ17億円で落札されたというニュースを見つけました。これはブラームスの親友であったヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムがかつて所 ...
ベートーヴェンの『ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」』を実際に演奏してみて気付いたことのメモ
数ヶ月かかってようやく本番にこぎつけたのがベートーヴェンの『ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」』でした。途中、べつの小品を人前で演奏する機会があって1、2ヶ月くらい微妙に中断してしまったので最後の方は時間が足りなくなって焦りました。最後の追い込みラスト1ヶ月はY ...
ヒラリー・ハーンの「あげひばり」、なかなかいい演奏だ
今さらかと思うかもしれませんが、もう20年近く前に録音されたヒラリー・ハーンの「あげひばり」。同じCDにエルガーの『ヴァイオリン協奏曲』も録音されており、メインとしてはそちらになります。しかし私がよく聴いているのはエルガーじゃなくてヴォーン・ウィリアムズの「 ...
感想:髙木凜々子さんヴァイオリンリサイタル(2025年2月24日(月・祝))、卓越した技巧で迫るイザイ
YouTubeでヴァイオリンの曲を検索すると、大抵の場合髙木凜々子さんが演奏された動画が見つかります。チャイコフスキーやメンデルスゾーンのような大がかりな協奏曲から「G線上のアリア」のような小品まで、ヴァイオリンの有名曲ならほとんどをカバーしています。演奏のクオ ...
案外「あげひばり」はアマチュアでも対処できるかもしれない
あるとき、私が演奏するベートーヴェンの『ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」』を指導してくださっているピアニストの先生が「ヴォーン・ウィリアムズの「あげひばり」はいい曲だ」と言い、そうだそうだその通りだとひとしきり盛り上がりました。「でも私は2小節で挫折しまし ...
作品は年を取らないが人間は年を取る。なんだかずるい。
ヴァイオリンを弾いていると、「こうすればいいのに」というアイデアは山のように思いつきます。ただでさえ音程を確保するだけでも難しく、さらにその上音色がどうしたとかフレージングがどうしたとか、解決できないはずの問題は弓を買い替えたら解決できてしまった、つまり ...
ヴァイオリンの演奏会本番。緊張するのは悪いことなのか
19世紀の大指揮者であるシャルル・ミュンシュは『指揮者という仕事』という本を残しています。このなかでミュンシュは指揮者を志す若者に向けて、控室での緊張をこう論じています。(本番前のあなたは)戦闘の中心である台上にのっかっているのだ、ちょうど飛んで来る矢にさ ...
ピアニストとの練習は積極的にやるべきだ論
あくまでも自称ながらヴァイオリニスト一人で練習していると、なんとなく弾けているような錯覚に陥りがちです。しかしヴァイオリン曲というのはピアニストの助けがなければ作品の99%を演奏することができず、残りは無伴奏曲つまり激ムズ曲しか残りません。「愛の挨拶」「タ ...
YouTube動画に合わせてヴァイオリンを練習するメリット
ヴァイオリンの曲のほとんどはピアニストが伴奏してくれないと作品として成立しません。無伴奏曲なんてのものありますが難しすぎて話になりません。それに無伴奏曲ばかり選んでいると、「こいつ友だちいないんだwww」とバレてしまいます。というわけで本番では当然ピアニスト ...