マンスフィールド・・・、なんていう名前を知っている人がいたら相当英文学に造詣が深い方でしょう。1888年ニュージーランド生まれ。少女時代から小説家になることに憧れロンドンに移住。チェーホフの影響のもとに培った表現方法は短編集『園遊会』に花開き、作家としての名 ...
カテゴリ: 書評
歴史の本がつまらない理由。ただ歴史を解説すればいいってものじゃない
2022年9月8日には英国の女王・エリザベス2世が滞在先のスコットランドにあるバルモラル城において老衰のため崩御。在位期間は70年を超え、20世紀後半から21世紀前半まで、いわば「戦後のイギリス」をほぼカバーする時代の象徴として英国の人々のみならず、日本をはじめとする ...
クレーマーの知能は低いのか? 案外そうでもなかった件
クレーマーという言葉でGoogle検索すると、併せて「知能 低い」のようにサジェストされることがあります。ということは多くのGoogleユーザーが「クレーマーは無理難題をふっかけてきて一方的にキレる。ということは知能が低いのだろう。そうに違いない」と推測し、これをサ ...
『テムズとともに 英国の二年間』。天皇陛下のオックスフォード留学時代の記録が復刊されている
2019年、第126代天皇に即位された徳仁親王は1983年6月から1985年10月まで英国に滞在し、オックスフォード大学大学院(マートン・コレッジ)に留学されました。そのときの記録『テムズとともに 英国の二年間』かかつて学習院教養新書に収められており、2023年4月に紀伊國屋書 ...
『沈黙』の「切支丹屋敷役人日記」、難しいが衝撃的な内容である
遠藤周作の代表作といえば『沈黙』であることは間違いないでしょう。この後も『侍』や晩年の大作『深い河』などが出版されていますが、『沈黙』がなければその後の作品群もなかったはずであり、日本人にとってのキリスト教とはなにか、それは西洋のキリスト教とどう違ってい ...
谷崎潤一郎「刺青」の名言。しかしこれはあくまでもフィクションです
谷崎潤一郎の名作短編「刺青」は絢爛たる文章を散りばめられ、どこをとっても陶然となるような美しい日本語が連なっています。夏目漱石の文章とも、森鴎外のそれとも違っている独特の文章そして世界観。芸術というのは「なんだかあっちの作品と似ているね」と思われてしまっ ...
なんだか理不尽、ダンテ『神曲』
ダンテの大作『神曲』は世界史の教科書にも登場するほどの名作。なんとラテン語ではなく、俗語であったトスカナの方言で書かれています。知識人が使う言語ではなく、一般の人が使う言語で書かれたことから、多くの人に読まれることになり、その結果現代につながるイタリア語 ...
『赤と黒』のラ・モール邸に出入りする人びとを見ていると自分が陰キャで友だちいなくて良かったと思う
スタンダールの代表作『赤と黒』で、主人公ジュリヤン・ソレルは物語の後半でラ・モール侯爵の秘書となります。秘書といってもスケジュールの調整をしたりお茶を出したりするわけではなく、手紙の代筆(いかにもラ・モール侯爵が言いそうなことを書いて、チェックしてもらう ...
『絢爛たるグランドセーヌ』第22巻からの考察。役に抜擢されたり、人に持っていかれたり
Cuvie先生のバレエ漫画『絢爛たるグランドセーヌ』第22巻では、ロイヤル・バレエ・スクールに留学中の奏がサマー・パフォーマンスで「パエトーン」を踊る場面があります。尊敬するニコルズ先生が生み出した作品でケレス役に抜擢された彼女は、仲間たちからのエネルギーを感じ ...
『赤と黒』のジュリヤン・ソレルは陰キャなのか?
そもそも『赤と黒』なんていう小説を読んでいる時点でちょっと陰キャな感じがします。スタンダール(1783-1842)の代表作『赤と黒』は、ロマン主義とリアリズムにまたがる近代文学の先駆的作品とされています。製材小屋のせがれとして生れ、父や兄から絶えず虐待され、暗い日 ...