友だちができたよ!!


と思ったら、じつはマルチ商法の勧誘だったよ!!


という実話をお話します。マルチ商法はこういう勧誘活動をしているのですね、という参考にしてください。

1.メールアドレスの交換してよ!
ひょんなことから知り合ったSさん。「メールアドレス教えてよ」と言われたので、いいですよと快諾。
するとちょくちょくメールを送ってくるようになった。
「ぼっち君って、この町に住んでるんだね。今度近くに行くからご飯食べようよ」
「◯日の8時から時間空いてる? ご飯食べようよ」
というようなメールが複数回来た。何回も断るのも失礼だと思って、晩ごはんを食べることにした。

2.イベントやるから来てよ!
ご飯を食べている時の会話のSさんの内容はこんなものだった。
「僕の周りにいる人は向上心の強い人が多い」
「だから成功している人が多い」
「そういう人は、いつもポジティブなものの考え方をしている」
「こんど、そういう人たちのイベントやるから来てよ」
ぼっち「う、うん・・・。」(←少しは疑えよ!)
この時点で怪しいと思うべきだった。しかし、彼の言っていることは「7つの習慣」などにも書いてあることと重なることがあり、無下にするわけにも行くまいと思った。


3.「金持ち父さん貧乏父さん」を題材にしたボードゲームをする
なんのイベントだろう? と思い、ある日集合場所の田町に向かった。
Sさん「今日、ゲーム大会やるんだ」
ぼっち「桃鉄・・・?」
Sさん「や、桃鉄とかボンバーマンじゃなくて、ボードゲームなんだ」
そのボードゲームとは。

「キャッシュフローゲーム」

というゲームだった。それは、
「不労所得をなるべく多く得て、サラリーマン人生という名のラットレース(ネズミが遊具の車をの中でグルグル走り回っても、ちっとも進んでいないレース)から脱出しよう!」
との趣旨。

遊んでいるうちに、「ああこれは、手持ちの資金を株式や不動産に投入してリターンを狙えば有利だ」という法則性が読めてきたので、ぼっちは比較的早い段階で富裕層になれた。(現実はそうではないのが悲しい)
しかし解散時刻が夜10時だったのが辛かった。田町から家までひたすら遠く、帰り道が苦痛だった。


4.会って欲しい人がいる、と紹介される
Sさんからまたメールが来た。
「この前はありがとう。ところでぼっち君に会って欲しい人がいるんだ。僕の先生だよ」
なんだそれは。まあいいだろうと思い、ぼっちは仕事後に品川に向かった。(少しは疑えよ! 2回めだぞ!)
品川では、先生という人が白いベンツに乗って現れた。まだ30歳にもなっていない若い男性だった。その若さで、車はベンツを保有。田町のタワーマンションに暮らしているという。
自分とは住む世界がまるで違うことに衝撃を受けた。
その先生とSさん、そしてぼっちでドライブをしようということになり、高輪の辺りを走りながら「先生」は語った。
「自分は薬剤師だった。しかし薬剤の計量は、人間よりも機械のほうがはるかに正確だということに気づき、自分の将来に疑問を感じた。そして薬剤師を辞めて起業した」。
概ねそういう内容だった。
「ぼっち君、君もサラリーマンを続けてみたいかい。ラットレースから抜け出す方法もあるよ」
「先生」は最後にそう言って、Sさんそしてぼっちと別れた。
ドライブといってもせいぜい15分くらいだった。(だからその時点で少しは疑えよ!! 15分のドライブなんかあるわけないだろ!)

5.先生の家に行ってみよう、と誘われる
後日Sさんからまたメールが来て「先生の家に行ってみよう」ということになった。
よしておけばいいのに、のこのこと田町のタワーマンションに出かけていって、高層階から東京タワーが一望できることに驚いた。
「ぼっち君、君もサラリーマンを続けてみたいかい。ラットレースから抜け出す方法もあるよ」
「先生」は先日と同じようなことをぼっちに諭すように語った。
滞在といってもせいぜい20分ほどだったが、ぼっちは「いい話を聞いた!」と無駄な幸福感に浸りながら田町を後にした。


6.ビジネスの話をしよう、とSさんに持ちかけられる

その後Sさんとメールのやり取りが続き、「ビジネスの話をしよう」と品川のファミレスに誘い出された。(少しは疑えよ! 4回めだぞ!)
Sさんは明かした。「実は先生も僕もMLMというものをやっている。MLMとはマルチレベルマーケティングのことであり、日本では数十年前から根付いているビジネスモデルだ。洗剤や石鹸など、必ず誰もが使う日用品を販売してるんだ」

愚かしいことに、ぼっちはMLMだとかマルチレベルマーケティングなどと聞かされてもまったく訳が分からなかった。しかしぼっちはその時給与計算の仕事をしていた関係上、「毎月どれくらい稼いでいて、確定申告はどうしてるの?」と聞いてしまった。
Sさんは「・・・。毎月サラリーマンの小遣い位で、確定申告は・・・。」と口ごもり始めた。
ぼっちはここで初めて「ああ何かあるなこれは」と気づき始めた。
Sさんはどうしてもぼっちを仲間に引き入れたいらしく、「とにかく、今度ビジネスの説明会が赤坂であるから来てよ! ◯月◯日、空いてる?」

Sさんはここでぼっちの逆鱗に触れてしまった。
◯月◯日。
ぼっちが大変尊敬する某ヴァイオリニストのリサイタルの日だった。雨が降ろうが槍が降ろうが、ぼっちはなんとしてでもリサイタルを聴きにコンサートホールへ行かなくてはならない日なのだ。
唐突にその日を持ち出され、カチンと来たぼっちはそのまま行く行かないの押し問答を繰り返した挙げ句、途中で「電車の都合が」などと行って席を立ってしまった。

家に帰って頭を冷やし、これまでの出来事をネットで調べてみたところ、山のようにマルチ商法の情報が見つかった。Sさんとは縁を切ることにした。

・・・少しは疑えよ! これに尽きる!!