大学でぼっちになるワケ、その3。

まだぼっちになる理由があった。

ぼっちはあまり他の人と重なりにくい趣味があった。

クラシック音楽を聴くことだった。

当時はバンドブームで多くのCDがミリオンを記録していた。
しかし自分は、高校1年のころからベートーヴェンやモーツァルトを
やたらと聴くようになり、いわゆる普通の音楽は大学時代はほとんど知らなかった。

当然、入学直後に(なりゆきで参加した)新歓の二次会などでカラオケに
行っても歌える曲は ひ と つ も なく、ポカーンとしているほかなかった。
そもそもカラオケ何それおいしいの? なんで東京の大学生ってこんなにいろんな
遊びを知ってるの? 謎だった。理解を超えていた。(ぼっちは上京するまでカラオケに
行ったことがなかった)
ちなみにぼっちがいわゆるポピュラー音楽と深い関係を結ぶようになるのは
就職してからのことだった。遅っ!

一応、大学にはクラシック音楽の鑑賞を専門とするサークルもあった。
そのサークルは数十年続いており、なかには有名な評論家になった先輩もいた。
とある大指揮者を招いて講演会を開催したこともあったそうだ。
ぼっちは一時期そこに在籍していたのだがコミュ力の無い自分のこと、
人間関係が嫌になり途中で辞めてしまった・・・。

こういう趣味だったので、「リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲が・・・」
のような話をしてもほぼ誰からも理解されず、「ああ、話をしても仕方ないや」という
気持ちにだんだん傾いていってしまったのだ。

大学1年の秋ごろからだったろうか、一人コンサートホールへ足を運ぶようになった。
二人とか三人ではなく、つねに一人だった。
大学は学部を選んで入学するところなので、当然同じような考え、好みの人たちが
たくさんいるだろうという、入学の時の期待は、その頃にはかき消されていた。


コンサートホールを訪れるときは、一人でという行動パターンは今も変わらない。



今もぼっちだ。