初任給が求人票の金額を下回る、これはわりとよくある事例です。求人票に記載されているのはあくまでも募集時点における見込額であって、必ずその金額が確約されているわけではないことに注意が必要です。見込額なので、それを下回る(上回る可能性もないわけではないが)場合も違法とは言えません。
また、求人票の初任給というのは「見込額」と明記していなくても、基本的には「見込額」とみなされるということになっています。昭和58年に東京高裁で判決が出た「八州測量事件」というのがあり、この判決では「求人票記載額は”見込額”であり、最低額の支給を保障したものではなく、将来入社時の目標額である」「誇大賃金表示など社会的非難に値する事実がなければ労基法違反とはいえない」と記されています。
つまり、あくまでも雇入通知書に記載されている金額が適用される、というわけです。つまり求人票は絶対そうなる、というものではないと、少し疑うくらいでちょうどいいのかもしれません。
私自身の場合は求人票に「年収600~900万」と書かれた採用試験に合格し、労働条件通知書を読んでみると「想定年収570万。確定拠出年金(DC)ではなく前払退職金を選ぶと毎月3万円なので、これを合算すると600万円を超えます」のようにボーダーラインをギリギリ超えるように仕組んだとしか思えないことが書かれてありました。
さらには毎月残業を◯時間すれば◯円支給される、それを加味すると年収が680万くらいになる、などという、まだ発生してもいない残業まで年収に組み込んでますますフィクションを構築してくるというとんでもないもの。これが「某大手銀行が出資しているから安心」とかいう中央区築地の会社のオファーレターでした。ふざけんな。
この手の「年収○万円」という数字は、求人を見る側からすると非常に厄介です。なぜなら、同じ「年収600万円」でも、その中身がまったく違うからです。たとえば、基本給と賞与だけで600万円なのか、住宅手当や資格手当などの各種手当を全部含めて600万円なのか、それとも毎月20時間程度の残業をすることを前提として600万円なのか。あるいは今回の私のように、退職金の前払いまで含めて「600万円」としているのか。数字だけを見れば同じ600万円でも、意味はまるで違います。
さらに困るのが、「想定年収」という言葉です。想定なのですから、会社が勝手にいろいろなものを足し合わせることができます。基本給、賞与、手当、前払退職金、残業代、と積み上げていけば、かなり大きな数字を作ることができます。しかし、転職する側が知りたいのは、そんな「全部うまくいった場合の年収」ではありません。
知りたいのは、結局のところ「毎月いくらもらえるのか」「賞与はいくらくらいなのか」「普通に働いた場合、年間でいくらになるのか」です。特に残業代を年収に含めるのは、個人的にはかなり違和感があります。残業代というのは、そもそも残業した結果として発生するものです。まだ発生していない残業をあらかじめ年収に加算して、「年収○万円です」と宣伝するのは、スーパーのチラシに「今後たくさん買い物をすればポイントが○万円分貯まります」と書いてあるようなものではないでしょうか。
しかも、残業をしなければその金額には届きません。つまり「年収600万円」と書いてあっても、実際には定時で帰れば550万円、ということもあり得ます。こうなると求人票の年収欄は、もはや「給与」というより「会社が作ったシミュレーション」に近くなってきます。
もちろん、求人票に書かれた数字と実際の労働条件が異なることには、法律上の問題が生じる場合もあります。そのため「求人票は全部ウソだから信用するな」とまで言うつもりはありません。ただ、少なくとも転職する側としては、求人票の数字をそのまま自分の財布に入るお金だと思わないほうがいいでしょう。私が転職活動をしていて感じたのは、「年収○万円」という一つの数字よりも、その内訳を見るほうがはるかに重要だということでした。
基本給はいくらなのか。賞与は何か月分なのか。固定残業代は含まれていないか。手当は恒常的にもらえるものなのか。退職金を前払いしているだけではないか。DCの会社拠出はいくらなのか。そして、残業をしなければ達成できない年収ではないか。ここまで確認して初めて、「この会社では実際にいくらもらえるのか」が見えてきます。
結局、求人票の「年収600~900万円」という数字を見て「おお、600万円以上あるじゃん」と喜んでいる場合ではありません。まず600万円という数字を分解して、何を足した結果その数字になっているのかを確認する必要があります。求人票に大きな数字が書いてあったら、それをそのまま信じるのではなく、「その600万円、何を何個積み上げて作った600万円ですか?」と聞いてみる。
転職活動においては、このくらい疑ってかかるほうが、むしろ健全なのかもしれません。いやそもそも年収600~900万円というのも、ひとつの職務ランクで300万円も年収が増減するはずもありませんから、絵に描いた餅だと最初から疑うべきでした。求人票の数字とは、現実の給与明細ではないのです。
そこを理解していなかった頃の私は、求人票に書かれた年収を見て「この会社に転職すれば、このくらいもらえるんだ」と素直に考えていました。しかし今なら、求人票の年収欄を見た瞬間にこう思います。
「その年収、素の状態ではいくらですか?」(本当は、この求人票デタラメ数字ですよね? と問い詰めたい)
さらに困るのが、「想定年収」という言葉です。想定なのですから、会社が勝手にいろいろなものを足し合わせることができます。基本給、賞与、手当、前払退職金、残業代、と積み上げていけば、かなり大きな数字を作ることができます。しかし、転職する側が知りたいのは、そんな「全部うまくいった場合の年収」ではありません。
知りたいのは、結局のところ「毎月いくらもらえるのか」「賞与はいくらくらいなのか」「普通に働いた場合、年間でいくらになるのか」です。特に残業代を年収に含めるのは、個人的にはかなり違和感があります。残業代というのは、そもそも残業した結果として発生するものです。まだ発生していない残業をあらかじめ年収に加算して、「年収○万円です」と宣伝するのは、スーパーのチラシに「今後たくさん買い物をすればポイントが○万円分貯まります」と書いてあるようなものではないでしょうか。
しかも、残業をしなければその金額には届きません。つまり「年収600万円」と書いてあっても、実際には定時で帰れば550万円、ということもあり得ます。こうなると求人票の年収欄は、もはや「給与」というより「会社が作ったシミュレーション」に近くなってきます。
もちろん、求人票に書かれた数字と実際の労働条件が異なることには、法律上の問題が生じる場合もあります。そのため「求人票は全部ウソだから信用するな」とまで言うつもりはありません。ただ、少なくとも転職する側としては、求人票の数字をそのまま自分の財布に入るお金だと思わないほうがいいでしょう。私が転職活動をしていて感じたのは、「年収○万円」という一つの数字よりも、その内訳を見るほうがはるかに重要だということでした。
基本給はいくらなのか。賞与は何か月分なのか。固定残業代は含まれていないか。手当は恒常的にもらえるものなのか。退職金を前払いしているだけではないか。DCの会社拠出はいくらなのか。そして、残業をしなければ達成できない年収ではないか。ここまで確認して初めて、「この会社では実際にいくらもらえるのか」が見えてきます。
結局、求人票の「年収600~900万円」という数字を見て「おお、600万円以上あるじゃん」と喜んでいる場合ではありません。まず600万円という数字を分解して、何を足した結果その数字になっているのかを確認する必要があります。求人票に大きな数字が書いてあったら、それをそのまま信じるのではなく、「その600万円、何を何個積み上げて作った600万円ですか?」と聞いてみる。
転職活動においては、このくらい疑ってかかるほうが、むしろ健全なのかもしれません。いやそもそも年収600~900万円というのも、ひとつの職務ランクで300万円も年収が増減するはずもありませんから、絵に描いた餅だと最初から疑うべきでした。求人票の数字とは、現実の給与明細ではないのです。
そこを理解していなかった頃の私は、求人票に書かれた年収を見て「この会社に転職すれば、このくらいもらえるんだ」と素直に考えていました。しかし今なら、求人票の年収欄を見た瞬間にこう思います。
「その年収、素の状態ではいくらですか?」(本当は、この求人票デタラメ数字ですよね? と問い詰めたい)
コメント