マイナポータルに限らず、国が開発したシステムはいつも使いづらいです。もちろん全部が全部そうだと言うつもりはありません。しかし私が仕事や私生活で触れてきたシステムに限って言えば、「どうしてこんな設計にしたんだろう」と首をかしげることが本当に多いです。その代表例が地方税ポータルシステム「eLTAX」です。

専門的な話になりますが、毎年1月31日までに、会社は前年分の給与支払報告書を従業員の皆さんが住んでいる自治体へ提出しなければなりません。最近は紙ではなく、eLTAXを使って全国の市区町村へ電子送信するのが一般的です。そして、その内容をもとに6月から翌年5月までの住民税額が決定され、会社は毎月の給与から住民税を天引きすることになります。人事・給与担当者にとっては毎年必ず通るイベントです。ところが、このeLTAXがなかなかの曲者でした。

私は一通りの操作を終え、画面にも「送信できました」とも受け取れるような表示が出ていたので、「これで終わったな」と思いました。しかし念のため、社労士の先生にスクリーンショットを送って「これで大丈夫でしょうか」と確認したところ、返ってきた答えは意外なものでした。

「これは送信前のスタンバイ状態です。このボタンを押して、さらにこの操作をすると、本当に送信されます」。マジかよ。私には完全に送信完了画面に見えていたのです。しかし実際には、まだ送信されておらず、最後の操作が残っていました。もし社労士の先生に確認していなければ、「送ったつもり」で締切日を過ぎていたかもしれません。

見づらい。そして危ない。システムは利用者が間違えないように作るべきです。「最後に送信ボタンを押してください」という重要な操作なら、誰が見ても分かるように表示すべきでしょう。少なくとも、送信完了と勘違いするような画面設計では困ります。

そこで私は社労士の先生に、「なんでこんなに使いづらいんでしょうね」と感想を伝えました。すると先生は苦笑いしながら、「eLTAXが多少なりとも使いやすくなってきたのはここ数年です。しかし件数が少ないのであれば、紙で申請したほうがまだ早いです」。一刀両断・・・。

長年この業界にいる専門家がそう言うのだから、相当なものなのでしょう。「電子化=便利」というイメージがありますが、現実には「紙のほうが早い」という場面がまだ残っているのです。そして、先日ブログで書いた原宿のベンチャー企業での短期勤務でも、これとよく似た出来事がありました。

この会社では6月給与から住民税を控除しなければならないにもかかわらず、誰一人として住民税が給与から引かれていませんでした。その結果、労務担当者は大慌て。上司はキレてました。給与計算のやり直しや自治体との調整などで、労務がボンバーしていたのです。もちろん個別の事情は分かりません。しかし、こういうミスを見るたびに思うのです。本当にこれは「担当者の不注意」なのでしょうか。

私はそうは思いません。重要な操作を完了したのか、それとも途中なのかが一目で分からない。送信したつもりなのに実は送信されていない。初心者だけでなく、慣れた担当者でも勘違いしそうな画面になっている。そんなインターフェースであれば、一定割合で同じミスが起こるのは当然です。

ユーザーは何万人、何十万人といます。一人ひとりが注意力でカバーするのではなく、「誰でも間違えないように設計する」のが本来のシステム設計ではないでしょうか。私には、これは利用者の能力の問題というより、インターフェースがクソなだけだと思えてなりません。国民の税金使って開発したシステムがこんなんなのか・・・。