2026年6月21日(日)に本所地域プラザBIG SHIPにて開催された佐藤久成さんのヴァイオリン・・リサイタル。結論から言うと、個性の塊であり圧巻の演奏でした。これはすごい!
佐藤久成さんといえば、かつて「レコード芸術」誌において生前の宇野功芳さんがものすごく褒めていました。「一人でも多くの人に聴いてほしい」と。私も東京で暮らしている間に何度か佐藤久成さんのリサイタルに足を運びました。4~5回くらいでしょうか。本当はもっと行くべきだったのですが、平日の夜の上野だったり、埼玉の方面だったりと、当時住んでいたエリアからは微妙に離れていたためにそれも思うようにいきませんでした。しかし今回ばかりは偶然にも自転車で行ける距離、かつ私が東京から引っ越してしまう前だということで是非にと聴きに出かけたのでした。
今回はブラームスやゴセック、ヴィエニアフスキといった小品を並べての2時間でしたが、どの作品も自らの手中に収めた演奏であり、轟々たる弦の響きとともに忘れがたい一夜となりました。何がどんなふうに個性の塊だったのかを文字で説明するのは難しいのですが、強いて言うなら往年の大ヴァイオリニスト、ミッシャ・エルマンのような、もっと新しい人ならばイヴリー・ギトリスのような独特の節回しに加え、オイストラフのような堂々とした響きとでも言えばよいでしょうか。
何しろ当日のラフマニノフ「ジプシー・ダンス」といいボームの「カヴァティーナ」やアウリンの「フモレスケ」のようにあまり知られていない作品から、ゴセックの「ガボット」(なんと、イントロが「浜辺の歌」!)、バッツィーニの「妖精の踊り」まで作品の骨格を崩さないギリギリのところまでデフォルメされ、しかもそれがまったくわざとらしくなく、むしろそう演奏したほうが面白いよね、とすら思えてしまうのですからまさにマジック。
そして、何よりも印象的だったのは、単に「変わった演奏」では終わらないところでした。個性的な演奏家というと、ともすれば自分の表現を前面に出すあまり、作品そのものが置き去りになってしまう場合があります。しかし佐藤さんの場合、まず作品への深い理解があり、その上で「この曲はこういう顔も持っているのではないか」と問いかけるような演奏なのです。
例えばブラームスの作品。ブラームスというと重厚で内省的、どちらかというと落ち着いた音楽というイメージがあります。しかし佐藤さんの演奏では、そこに濃厚な歌心と、時には激しい情念が顔を出します。音符を丁寧になぞるというより、音楽そのものを大きく呼吸させるような演奏でした。もちろん技術的な不安などは微塵もなく、だからこそ大胆な表現が成立しているのでしょう。
また、今回取り上げられた小品の数々も非常に興味深いものでした。普段のコンサートではなかなか聴く機会のない作品ですが、佐藤さんの手にかかると、一つひとつがまるで大作のような存在感を持って立ち上がってきます。忘れられた名曲を発掘するというより、「本当はこういう魅力があったのだ」と再発見させられる感覚でした。
考えてみれば、こうした演奏に出会えることこそ、実演を聴きに行く大きな楽しみなのだと思います。録音技術が発達し、世界中の一流演奏家の演奏を簡単に聴ける時代になりました。しかし、予定調和ではない、その瞬間にしか生まれない音楽に触れる体験は、やはりコンサート会場でしか味わえません。
今回の会場である本所地域プラザBIG SHIPも、いわゆる大ホールとは違った距離感があり、ヴァイオリンの生々しい響きを間近に感じることができました。弓が弦をとらえる瞬間の迫力、音が空間に広がっていく感覚。そのすべてが、佐藤久成さんという演奏家の魅力をより強く伝えていたように思います。
東京での生活も残りわずかとなったなかで、このような演奏会に巡り合えたことは本当に幸運でした。これまで何度も聴いてきた佐藤さんの演奏ですが、今回のリサイタルはその中でも特に強く記憶に残るものとなりました。東京を離れる前に、最後にもう一度「東京でしか出会えない音」に出会えた。そんな気持ちにさせてくれる、忘れがたい一夜でした。
例えばブラームスの作品。ブラームスというと重厚で内省的、どちらかというと落ち着いた音楽というイメージがあります。しかし佐藤さんの演奏では、そこに濃厚な歌心と、時には激しい情念が顔を出します。音符を丁寧になぞるというより、音楽そのものを大きく呼吸させるような演奏でした。もちろん技術的な不安などは微塵もなく、だからこそ大胆な表現が成立しているのでしょう。
また、今回取り上げられた小品の数々も非常に興味深いものでした。普段のコンサートではなかなか聴く機会のない作品ですが、佐藤さんの手にかかると、一つひとつがまるで大作のような存在感を持って立ち上がってきます。忘れられた名曲を発掘するというより、「本当はこういう魅力があったのだ」と再発見させられる感覚でした。
考えてみれば、こうした演奏に出会えることこそ、実演を聴きに行く大きな楽しみなのだと思います。録音技術が発達し、世界中の一流演奏家の演奏を簡単に聴ける時代になりました。しかし、予定調和ではない、その瞬間にしか生まれない音楽に触れる体験は、やはりコンサート会場でしか味わえません。
今回の会場である本所地域プラザBIG SHIPも、いわゆる大ホールとは違った距離感があり、ヴァイオリンの生々しい響きを間近に感じることができました。弓が弦をとらえる瞬間の迫力、音が空間に広がっていく感覚。そのすべてが、佐藤久成さんという演奏家の魅力をより強く伝えていたように思います。
東京での生活も残りわずかとなったなかで、このような演奏会に巡り合えたことは本当に幸運でした。これまで何度も聴いてきた佐藤さんの演奏ですが、今回のリサイタルはその中でも特に強く記憶に残るものとなりました。東京を離れる前に、最後にもう一度「東京でしか出会えない音」に出会えた。そんな気持ちにさせてくれる、忘れがたい一夜でした。

コメント