2026年6月15日の日本経済新聞。「15日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、終値は前週末比3297円(4.99%)高の6万9317円と最高値を更新した。上げ幅は過去2番目の大きさだった。日本時間15日早朝にトランプ米大統領がイランと戦闘終結で合意したとSNSで発表」。

去年はまだ日経平均は4万円台であり、秋になって5万円になっていますから、大変なスピードで日経平均が上昇していることが伺われます。といっても日経平均は上場企業全体ではなく、あくまでも代表的銘柄の平均であることに注意が必要です。それでも半導体関連を中心に活況を呈していることは間違いありません。

これってバブルなのでしょうか。バブルというのは、その渦中にある人は「これはバブルだ!」と気づきません。バブルが弾けて、「あれはバブルだったんだ」と後で気づくのが一般的です。10年ほど前に流行った仮想通貨ブームがその典型例でしたね。

バブルかどうかを判断するのは意外に難しいものです。株価が急上昇しているからといって、必ずしもバブルとは限りません。企業業績の改善や技術革新によって利益が伸び、それに伴って株価が上昇しているのであれば、それはむしろ健全な値上がりだからです。

たとえば1980年代後半の日本の土地バブルでは、「東京の土地価格は絶対に下がらない」と本気で信じられていました。企業も個人も銀行も、将来の値上がりを前提に借金を重ねて不動産を購入しました。しかし実際には土地から利益が生み出されるわけではありません。価格上昇そのものが目的化していたのです。

一方で現在の株式市場を見ると、少なくとも表面的には当時とは異なる部分があります。半導体やAI関連企業は実際に利益を生み出しており、社会全体のデジタル化も進んでいます。投資家は単なる夢物語ではなく、企業の収益力を評価しているとも言えるでしょう。

しかし、市場というものは常に行き過ぎる傾向があります。未来への期待が高まると、人々は現在の利益ではなく「将来の利益」を先取りして株価に織り込んでいきます。その結果、本来なら10年かけて上昇するはずだった価格が、わずか1年や2年で達成されてしまうことがあります。

私が少し気になるのは、最近になって株式投資に関心を持つ人が急激に増えていることです。もちろん投資そのものは悪いことではありません。しかし、「みんな儲かっているから自分も参加しなければ損だ」という心理が広がり始めると注意が必要です。投資対象の価値を考えるのではなく、値上がりだけを期待して買う人が増えるからです。

実際、歴史を振り返るとバブルの終盤には似たような光景が見られます。ITバブルの時も、仮想通貨ブームの時も、「今回は違う」「これからは永遠に上がる」という言葉が聞かれました。そして相場が崩れ始めると、今度は逆に「なぜこんなものを買ったのだろう」と後悔する人が続出しました。

もちろん、今の日本株が必ず暴落するとは限りません。むしろ日本企業の競争力向上やAI革命によって、さらに成長する可能性もあります。ただ、株価が短期間で大きく上昇した時ほど冷静さが求められるのも事実でしょう。

結局のところ、バブルかどうかは未来にならなければ分かりません。しかし一つだけ確かなことがあります。それは、誰もが強気になっている時ほど慎重になり、誰もが悲観している時ほど落ち着いて考える姿勢が重要だということです。市場の熱狂に飲み込まれず、自分自身の頭で考える。その姿勢だけは、どんな相場環境でも忘れたくないものです。