外資系企業の採用試験にチャレンジすると、大抵の場合どこかで英語面接に出くわします。日本法人の代表者が外国人だったり、ビデオ通話を使ってシンガポールAPAC(アジア太平洋)本部の役員と面接だったり。いずれにしても英語で応答しなければなりません。

といってもハードルが高すぎます。日本語で面接を受けても、通過するよりも落とされる確率のほうが高いのが実情でしょう。ましてや英語で志望動機とかこれからのビジョンを語れと言われても難しいですし、予想もしないような質問をされたら固まってしまう人のほうが大多数ではないでしょうか。

私もあるとき英語面接を受けました。某北欧の医療装具を扱っているメーカーの日本法人ですが、面接官はシンガポールの人。ビデオ通話で受け答えをするのですが、そもそもシンガポールアクセントの英語が聞きづらい。それを相手のパソコンのスピーカーが拾った音声を私のパソコンにつないだイヤホンで聞こうとするとますます聞きづらい。辛い!

当然ながら自己紹介のように絶対尋ねられるだろうなということは答えることができました。でも予想外の質問はもはやぐだぐだ。こりゃ絶対落ちたなという確信を胸に私は面接会場を「退室」したのでした。

しかし、ここで声を大にして言いたいのは、「英語面接ができない=能力が低い」では決してない、ということです。少なくとも私の場合、「伝えたいことがない」のではなく、「伝えたいことを英語に変換する余裕がない」だけでした。これは本質的な問題というより、単なる処理速度の問題です。

実際、日本語であればそれなりに筋の通った話ができる自信はあります。志望動機も、これまでの経験も、仕事に対するスタンスも、一定の言語化はできています。ところがそれを英語にした瞬間、急に「えーっと」「あー…」が増え、内容は半分以下に圧縮され、気づけば"I like challenge"とかいう中学生の作文みたいな発言をしている自分がいるのです。

さらに厄介なのは、「聞き取れない恐怖」です。英語面接というのは、話す力以上に聞く力が問われます。質問の意図を正確に理解できなければ、どれだけ準備していても意味がありません。そして一度聞き取れなかった瞬間、「やばい、もうダメだ」という焦りが頭を支配し、その後のパフォーマンスは雪崩のように崩壊していきます。

もちろん、"Could you say that again?"と聞き返せばいい、というのは頭では分かっています。しかし、面接という場のプレッシャーの中でそれを冷静に言えるかというと、これがなかなか難しい。変に遠慮して曖昧な理解のまま答え始め、結果として的外れな回答をしてしまう。これもまた典型的な失敗パターンです。

ではどうすればいいのか。正直なところ、特効薬はありません。ただ一つ言えるのは、「完璧な英語を話そうとしないこと」だと思います。実際、外資系の面接官もネイティブばかりではなく、彼ら自身も第二言語として英語を使っているケースが多い。つまり、彼らが見ているのは文法の正確さよりも、「最低限コミュニケーションが成立するか」「考え方に筋が通っているか」という点です。

それでも、私はやはり英語面接が苦手です(そもそも人との会話が苦手です)。できることなら日本語で勝負させてほしいと心の底から思っています。ただ、それでも逃げ続けるわけにもいかないのが現実です。であれば、「うまく話す」ことよりも、「崩れない」ことを目標にするほうが現実的なのかもしれません。

多少つっかえてもいい、単語レベルでもいい、とにかく黙らない。分からなければ聞き返す。その積み重ねの中でしか、この苦手意識は少しずつしか薄れていかないのでしょう。

結局のところ、英語面接とは「語学試験」ではなく「耐久戦」なのだと思います。そして私は今日もまた、その戦いに挑む準備をしているのです。苦手でござる、と呟きながら。