ヴァイオリンの練習時間がなかなか取れない、という方もいらっしゃることでしょう。働いているとなおさらです。といっても、案外朝は時間があったりするもの。というわけで早起きすれば一定の時間を確保することが可能です。
で、その練習ですが音階練習から始める人が結構多いのではないかと思います。まあ当たり前ですよね。音階練習しない人はいませんからね・・・。でもこの音階練習というのは退屈極まりないと相場が決まっています。そりゃ大事な練習です。でも大事であるからといって、面白いというわけではありません。
しかし私は思いついてしまいました。そうだ、この退屈な時間と並行して夕食を朝のうちに作っておけばいいじゃないか!
というわけで実行してみました。別に自分ひとりが食べる料理ですからこだわりの一品なんか必要ありません。ビーフシチューとかカレーみたいなワンプレート料理で十分です。鍋に業務スーパーで売ってる冷凍野菜とか肉とかを投げ入れて最後にカレールーを入れて適当に煮込んで終わり。冷ましてタッパーに詰めて冷蔵庫へ。これで完結。工程のほとんどはとろ火で煮込むだけなので、ガスコンロが視界に入るあたりに立って音階練習して、ときどき見に行く程度で十分完成しました。思っていたより簡単でした・・・。まとめて2日分作ったので今日と明日の夕食はこれで完成です。のべ15分くらい。
ただ、この方法にはいくつか気づきもありました。まず第一に、「時間がない」というのは必ずしも絶対的なものではなく、単に使い方の問題に過ぎないということです。これまで私は、まとまった時間が取れないと練習の質が落ちるのではないかとどこかで思い込んでいました。しかし実際には、音階練習のようにある程度ルーティン化された内容であれば、多少の「ながら」でも十分に成立するどころか、むしろ継続しやすくなるという側面すらあるように感じました。
第二に、「退屈さ」の扱い方です。音階練習が退屈なのは事実ですが、その退屈さを真正面から乗り越えようとするのではなく、別の作業と組み合わせることで相対的に負担を軽くする、という発想は案外有効でした。言い換えれば、練習そのものの質をいじるのではなく、環境や状況を工夫することで心理的ハードルを下げるというアプローチです。これは音楽に限らず、日常のさまざまな習慣にも応用できそうです。
さらに意外だったのは、料理と練習の相性の良さです。火にかけている間は基本的に待ち時間ですし、かといって完全にその場を離れるわけにもいかない。そういう「半拘束状態」の時間は、実は音階練習のような単純反復と非常に噛み合うのです。しかも、一定時間ごとに鍋の様子を確認するために中断が入ることで、集中がリセットされ、結果的にダラダラ続けるよりもメリハリがつくという副次的な効果もありました。
もちろん、エチュードや曲の練習のように高度な集中を要するものまで同じやり方でできるとは思いません。しかし、少なくとも基礎練習の一部をこうした形で「生活の中に埋め込む」ことができれば、全体としての練習時間は確実に底上げされます。そして何より、「今日は時間がないからやらない」という言い訳が一つ減るのは大きい。
朝の時間というのは、意外と可能性に満ちています。少し早く起きるだけで、練習もできて、夕食の準備まで終わってしまう。そう考えると、これまで漫然と過ごしていた朝の時間が、少しもったいなく思えてきます。今後はこのスタイルをもう少し洗練させつつ、無理なく続けられる形にしていきたいところです。
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