コロナ以後、ライブ配信というものが急速に普及しました。

が、私はこれまで音楽イベントのライブ配信をまったく利用したことがありません。NHKオンデマンドとかでNHK交響楽団の演奏を試聴することはありますが、こと生中継となるとまったく未経験でした。
そんな折、東京・春・音楽祭では有料ライブ配信を行っているということを知りました。これは、チケット価格が1,500円で家から一歩も出ることなくその公演を鑑賞できるということ。というわけで私も意を決して視聴することにしました。

選んだのは2026年3月19日の東京春祭チェンバー・オーケストラ。
曲目は次の通り。
モーツァルト:
 セレナード 第13番 ト長調 K.525《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》 
 ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364 
 (ヴァイオリン:堀 正文、ヴィオラ:佐々木 亮)
 交響曲 第35番 ニ長調 K.385《ハフナー》
お気づきのとおり、このプログラムだと正味演奏時間は65分前後。これでチケット代6,500円(当日券の場合)か、うーんと悩んだというのが実情です。配信なら1,500円だし、まあ良いかなと思ったのでした。

そして視聴。まず画質。これはN響アワーみたいなカメラワークを期待してはいけません。映像は会場後方に設置しているであろうカメラ1台のみからのもの。したがって「ホール最後列の座席に座った人の視点」とイメージすると分かりやすいでしょう。ただ、最後列に座った場合、視力がよくないとかなり演奏者の様子はぼやけてしまいます。カメラだとわりとはっきり見えます(薄暗い環境なので限界はあります)。

拡大機能も実装されていますが、あまり必要性を感じませんでした。拡大しても結局ぼやけたものがドアップになるだけなので・・・。

肝心の音質はどうか。これはかなり良いです。CD並みといってよいでしょう。私はヘッドホンを使って聴いていました。この日の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」では第2楽章が速めのテンポでスイスイと進んでいく推進力に感心しましたし、「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」では普段目立たないヴィオラが切々と哀愁感漂ようメロディを奏でている様子がはっきりと聞こえました。ただいかに音質がクリアとはいっても、やはり会場に足を運んではじめて体感できる空気感やホールの響きは再現できません。

休憩をはさんで「交響曲第35番 ハフナー」、こちらは力感あふれる弦楽器群の推進力が伝わってきました。(やはりホールで体感するのには及びませんが。)
終演は20時48分。帰宅は20時48分、ということになるでしょうか。実際に現場に行っていたら往復の移動にかかる時間やお金が発生します。オンラインならそんなものはありません。一番便利だったのはこれでした。

というわけで私なりに考えてみると、東京・春・音楽祭のライブ配信は、「ぜひ聴きたい、これは思い出に残りそうだという公演なら足を運んだほうがよい、でもとりあえずチェックしとくか、というくらいの関心なら配信で事足りるだろう」ということになります。残酷な話ですが、東京にはコンサートはたくさんあります。でも・・・、1年後には行ったことすら忘れていた、というのが実情ではないでしょうか。私自身もコンサートとか展覧会の感想をこのブログに書き記していますが、昔の記事を見つけて「ワイってこんなの行っとったんや・・・」となってしまうことがけっこうあるのです・・・。