男性がマッチングアプリを使っていると、ついこういう状態に陥ってしまう、ということについて論じてみたいと思います。

まず男性の場合、出会えない。実際に出会うまでのハードルが高い。メッセージをやりとりしていても無視、嘘、ブロック、ドタキャンなどに見舞われてしまいます。そんな仕打ちに何回も会って、ようやく一人と巡り会えます。NHKの番組「ねほりんぱほりん」によると、男性の婚活は「砂漠に水がない」であり、女性の婚活は「自販機に欲しい飲み物が売ってない」だそうです。つまりそれだけ女性は選り好みをしている(無視、嘘、ブロック、ドタキャンで男を選別している)わけですね。

ここまで読んでみると、つまりはパワーバランスとしては女性が圧倒的に上。なので実際に喫茶店やレストランで会ってみると、男性は「会計は私が払います」となりがちです。私の場合、会計のタイミングで都合よく席を外す女性もいました。つまりお前が払え、私は1円も出さん、ということが態度でミエミエなのですね。

私は何度も何度もそういう人と会いました。それで婚活が順調に行っていると思っていました。思い違いでした。なにしろマッチングアプリでの出会いというのは、会ってみてもなんだか面白くもなんともないし、相手のことを全く好きになれないのでした。

そうなると、食事代とか映画とかミュージカルのチケット代とかを都度私が負担して、私の見返りはゼロ。なんだか恋愛とか結婚みたいなロマンチックなものではなくて、「福利厚生を一方的に提供している」状態になっているなあと、今では思わざるを得ないのでした。

しかし、冷静に考えてみると、この構造は個々の女性の性格の問題というより、マッチングアプリという仕組みそのものが生み出しているものなのかもしれません。アプリの世界では、次から次へと新しい相手が表示されます。しかもスマホを数回スワイプするだけで、いくらでも「次の候補」が出てくる。そういう環境にいると、人はどうしても一人一人を真剣に見るというより、「もっといい人がいるのではないか」という感覚になりがちです。

これは男性側にも言えることですが、特に女性はマッチング数が多いので、その傾向が強くなります。結果として、ひとりの相手に対して投資する心理的コストはどんどん下がっていく。メッセージを無視するのも、ブロックするのも、ドタキャンするのも、それほど大きな出来事ではなくなるのです。

そして男性側はどうなるか。ようやく会えた相手を「逃したくない」と思うので、つい頑張りすぎてしまう。食事をごちそうしたり、デートプランを練ったり、相手に楽しんでもらおうとサービス精神を発揮する。しかし相手の側から見ると、それは特別なことではなく、単なる「普通のデート」だったりする。ここに大きな温度差が生まれます。

こうして、男性はだんだん疲れていきます。最初は期待に満ちて始めたはずの婚活が、いつの間にか「コストとリターンの合わない活動」になってしまう。私が感じた「福利厚生を一方的に提供している」という感覚も、そういう構造の中で生まれたものだったのでしょう。

もちろん、マッチングアプリで結婚した人もたくさんいます。しかし少なくとも私の場合、この仕組みの中にいる限り、恋愛というよりは消耗戦に近いものを感じてしまうのでした。