陰キャの時代、北。

勝手にそう思ってしまいました。何しろ有線イヤホンに回帰の兆しが見られるというのです。



確かにBluetoothのイヤホンというのは便利だと思います。使ったことがないけれど。
有線イヤホンの一番の難点が絡まるということ。これは鬱陶しい。時間の無駄です。電車の中で他人の荷物になぜか引っかかってしまったこともあります。これも地味に嫌でした。

しかし私はiPod ClassicがBluetoothに対応していないという、ただそれだけの理由でずっと有線イヤホンを使い続けていました。

でもこの動画を見ていると、Bluetoothイヤホンにはいろいろ弱点があるみたいですね。
・遅延する
・紛失しがち
・充電の手間
・充電すればするほどバッテリーが劣化していくので数年後には廃棄の運命

私としては充電しなきゃいけない、したらしたで寿命が近づくというのが嫌です。なんで数万円したものを簡単に廃棄しなきゃいけないのか・・・。

それと私がつい思い出してしまうのが声優の雨宮天さんが電車の中で「恋のミクル伝説」を聴いていたら、知らない人に笑われて恥ずかしかったという話。いつの間にかペアリングが解除されて音声がダダ漏れだったようなのです。



これを聞かれる! 恥ずかしい!! 実際に雨宮天さんも恥ずかしさのあまり電車を降りたふりをして車両を移ったそうです。そらそうなるわ。

このエピソードを聞いたとき、私は笑うより先に身震いしました。なぜなら私自身も電車の中で「ラブライブ!」とか「ラブライブ! サンシャイン!!」とか「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」とか「ラブライブ! スーパースター!!」とかを聴いているからです。こういう歌が周りに飛び散るのは恥ずかしい!! 

思うに、音楽というのは、本来かなり危ういものです。
何を聴いているかは、その人の感性、記憶、場合によっては黒歴史まで引き連れているわけですから。クラシックだろうがアニソンだろうが関係ありません。「これを聴いている自分」を他人に知られたくない、という感覚は、程度の差こそあれ誰にでもあるはずです。有線イヤホンは、その秘密を物理的に守ってくれる。線が刺さっている限り、音は外に漏れない。この単純さは、今となっては貴重です。

Bluetoothは便利です。しかし便利さとは、裏を返せば「勝手に繋がる」「勝手に切れる」ということでもあります。自分が制御しているつもりのものが、実は完全には掌握できてなかったりします。その不安定さは、音楽鑑賞にはあまり向いていない気がします。少なくとも私は、再生ボタンを押すたびに、どこに音が飛ぶのか一瞬考えてしまうような環境では、落ち着いて聴けません。

有線イヤホンには、逃げ場がありません。
線が絡まれば、ほどくしかないですし、引っかかれば、イライラしながら立ち止まるしかない。その代わり、音は自分の耳にしか届かない。この「不便さと引き換えの確実性」は、今の時代ではむしろ少数派でしょう。

しかしながら、真偽の程は不明ながら有線が見直されてきたというのは嬉しいものです。新しければ何だっていいわけではありませんし、機構が単純であるがゆえの扱いやすさというのは魅力です。
だから私は今日も、ポケットの中で絡まったコードをほどきながら、iPod Classicを起動します。
不格好で、時代遅れで、陰気かもしれない。でも、少なくとも音楽は裏切らないし、勝手にダダ漏れたりもしない。それだけで、十分に信頼できる友だちなのです。