2025年6月にベルーナドームで行われた「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~」から早くも3ヶ月が経過しました。しかし当日の思い出は頭の中に鮮明に残っています。そしてこれからも繰り返し思い返すことになるでしょう。それにしても時間というのは残酷なものです。その時はその時にしか味わうことができず、後戻りすることができません。完全に一方通行。それが「生きている」ことだとは分かっていても、時間の不可逆性には(ラブライブ! に限った話ではなく)悔しさが募ります。

そして公開された「Aqours Documentary」。この作品では9人のメンバーたちの様々な胸中が明かされ、こういう思いを秘めて演技をしていたのかとか、メンバーの気持ちがフィナーレライブに向けてなかなか収斂しないなど、非常に興味深い内容となっていました。

私が見ていて辛くなったのは、降幡愛さんのコメントでした。「当時はラブライブ! 総選挙が実施され、黒澤ルビィが9位だった。私が声を担当したからこうなってしまったのかと思った」と涙ながらに語るその様子は、数字で人気を示すことの冷たさが垣間見え、いたたまれなくなりました。

また、Aqoursはμ'sについて言及することを禁じられていたということも、見ていて胸が締め付けられました。発足当時のAqoursはいわば逆風であり、μ'sの後で何ができるんだというネガティブな雰囲気の中からの船出であったのは周知の事実。そして自らの実力でμ'sファンを納得させていったことは、改めて当時の映像とともに振り返ると感慨深いものがありました。

そして新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って活動が急遽中断し、メンバーの心が折れてしまったこと。そしてあと5年走り抜けてフィナーレライブをやろうという提案が持ち上がったこと、実際にフィナーレライブに向けてリハーサルを繰り返すなかでメンバーの心がいまいち一つになっていかないこと・・・、それでも迎えた本番当日、言うまでもなくフィナーレの名にふさわしい公演内容となったこと。PA席から見守るスタッフも男泣きしている様子が映っていましたが、このときは私を含めて劇場の客席からもすすり泣く声が聞こえてきました。そして上映後には拍手が起こりました。この映画はどういう内容だったかと問われれば、「最後に泣いて、拍手したくなる」、こう言えばきっと伝わると思います。

それにしても、時間は遡れないということは、「ラブライブ! サンシャイン!!」でも端的に示され、この台詞は何度聞いても切なくなります。

千歌「楽しい時間というのは、いつもあっという間で。」
果南「そこにいる誰もが、この時間がずーっと続けばいいのにって思ってるのに。」
曜「でも、やっぱり終わりは来て・・・」
ダイヤ「時が戻らないこと、もう一度同じ時間を繰り返せないことが、とても寂しく思えるけど。」
ルビィ「同時に、やっぱりどうなるか分からない明日の方が、ちょっぴり楽しみでもあって。」
花丸「あぁ、これが、時が進んでいくってことなんだなぁって、実感できるずら。」
善子「そして気づく。・・・きっと、二度と同じ時はないから、この時が楽しいって、思えるのかな。今こうしていることが、たった一度きりだって分かっているから、全力になれる。」
梨子「いつか終わりが来ることを、みんなが知っているから…終わりが来てもまた、明日が来ることを知っているから。」
鞠莉「未来に向けて、歩き出さなきゃいけないから・・・みんな、笑うのだろう。」

「生きている」ことの素晴らしさと哀しさを凝縮したようなこの言葉は、これからも折にふれて味わいたいと思います。