会社の福利厚生で、ときおり「家の常備薬」というものがやたらと安い価格で手に入ることがあります。一般的に1,000円で販売されている品物がなぜか400円程度で叩き売りの状態。しかもそれを「カフェテリアプラン」という別の種類の福利厚生のポイントを利用すると実質無料で胃薬とか解熱剤とか目薬とかが手に入ってしまいます。
それを知った私はそれこそ葛根湯だの目薬だの胃薬だのをやたらとショッピングカートに入れまくります。4,000円以上の購入で送料無料なので、明らかに不要不急な薬まで買ってしまいます。
そして我にかえります。これって真に必要なものか? いやそうじゃない。うーん、あまりに安いと必要ないものまで買ってしまうのか・・・。
人間というのは不思議なもので、必要だから買うのではなく、「お得だから買う」という理由だけで財布のひもが緩んでしまう瞬間があります。スーパーのタイムセールやAmazonのタイムセールもそうですが、ことに「健康に役立つ」「常備しておいて損はない」といった性質のものになると、なおさら理性が後退しやすくなります。薬やサプリメントはまさにその典型例でしょう。
もちろん、常備薬というのは生活を支える安心材料です。風邪をひいたときに家に解熱鎮痛剤がなければ、体調が悪いままドラッグストアへ行かなければなりません。胃が痛むときに胃薬がないと、ただただ苦しい時間を過ごすことになります。だから一定数のストックはむしろ「備えあれば憂いなし」であり、福利厚生を活用して安く手に入れるのは合理的な判断です。
しかし、問題は「どこまでを必要とみなすか」です。たとえば自分がこれまで一度も使ったことのない薬、あるいは賞味期限や使用期限が切れるまでにおそらく消費しないであろう薬まで手を伸ばすのは、やはり冷静さを欠いているのではないかと感じます。せっかく安く買ったはずの薬も、封を切られないまま廃棄されれば、それは結果として資源や労力の浪費になってしまいます。
ここで気づくのは、「安さ」がもたらす心理的な罠です。人は値札に敏感で、「本来1000円するものが400円」と見た瞬間に、600円の得をしたような錯覚に陥ります。しかし実際には、その400円が確実に消費されるかどうかは不明です。もし最後まで使わなかったなら、その400円は丸ごと損失です。つまり「お得」の裏側には「浪費リスク」という影が潜んでいるのです。
それでもなお私たちがつい購入してしまうのは、「未来の自分が必要とするかもしれない」という不安への対処でもあります。医薬品というジャンルは特にその傾向が強く、健康や病気に関する漠然とした恐れが購買行動を後押しします。「あのとき薬があればよかった」と後悔したくないがために、とりあえずカートに入れてしまうわけです。
では、どうすればよいのか。ひとつの工夫は「過去の使用実績」を基準に判断することです。たとえば過去一年間にどの薬を何回使ったかを思い出し、それ以上の量を買わないと決める。逆に一度も使っていない薬は、いくら安くてもスルーする。そうすることで、冷静さを取り戻しやすくなります。
もう一つは「必要なときに買えばよい」という視点を持つことです。薬局やネット通販は今やどこにでもありますから、急な体調不良のときでも数時間以内に手に入れる手段はあるはずです。つまり「備え」と「過剰在庫」の境界線を、自分なりに見極めることが求められるのです。
私は今回の体験を通じて、「安さに釣られて買う」という行動が、結局は物やお金だけでなく心の余裕も奪ってしまう可能性に気づきました。棚に未使用の薬が並んでいるのを見ると、「ああ、これを消費しないといけない」という無意識の義務感すら芽生えます。本来、常備薬は安心のためにあるのに、それが逆に小さなストレスになってしまうのは皮肉なことです。
結局のところ、必要なものを必要なときに適切な量だけ確保する。それが一番シンプルで無駄のないやり方なのでしょう。福利厚生を活用するのは賢い行動ですが、それに振り回されてはいけない。安さに浮かれるのではなく、「これは本当に今の自分に必要か?」と問いかける習慣を持ちたいと思います。
もちろん、常備薬というのは生活を支える安心材料です。風邪をひいたときに家に解熱鎮痛剤がなければ、体調が悪いままドラッグストアへ行かなければなりません。胃が痛むときに胃薬がないと、ただただ苦しい時間を過ごすことになります。だから一定数のストックはむしろ「備えあれば憂いなし」であり、福利厚生を活用して安く手に入れるのは合理的な判断です。
しかし、問題は「どこまでを必要とみなすか」です。たとえば自分がこれまで一度も使ったことのない薬、あるいは賞味期限や使用期限が切れるまでにおそらく消費しないであろう薬まで手を伸ばすのは、やはり冷静さを欠いているのではないかと感じます。せっかく安く買ったはずの薬も、封を切られないまま廃棄されれば、それは結果として資源や労力の浪費になってしまいます。
ここで気づくのは、「安さ」がもたらす心理的な罠です。人は値札に敏感で、「本来1000円するものが400円」と見た瞬間に、600円の得をしたような錯覚に陥ります。しかし実際には、その400円が確実に消費されるかどうかは不明です。もし最後まで使わなかったなら、その400円は丸ごと損失です。つまり「お得」の裏側には「浪費リスク」という影が潜んでいるのです。
それでもなお私たちがつい購入してしまうのは、「未来の自分が必要とするかもしれない」という不安への対処でもあります。医薬品というジャンルは特にその傾向が強く、健康や病気に関する漠然とした恐れが購買行動を後押しします。「あのとき薬があればよかった」と後悔したくないがために、とりあえずカートに入れてしまうわけです。
では、どうすればよいのか。ひとつの工夫は「過去の使用実績」を基準に判断することです。たとえば過去一年間にどの薬を何回使ったかを思い出し、それ以上の量を買わないと決める。逆に一度も使っていない薬は、いくら安くてもスルーする。そうすることで、冷静さを取り戻しやすくなります。
もう一つは「必要なときに買えばよい」という視点を持つことです。薬局やネット通販は今やどこにでもありますから、急な体調不良のときでも数時間以内に手に入れる手段はあるはずです。つまり「備え」と「過剰在庫」の境界線を、自分なりに見極めることが求められるのです。
私は今回の体験を通じて、「安さに釣られて買う」という行動が、結局は物やお金だけでなく心の余裕も奪ってしまう可能性に気づきました。棚に未使用の薬が並んでいるのを見ると、「ああ、これを消費しないといけない」という無意識の義務感すら芽生えます。本来、常備薬は安心のためにあるのに、それが逆に小さなストレスになってしまうのは皮肉なことです。
結局のところ、必要なものを必要なときに適切な量だけ確保する。それが一番シンプルで無駄のないやり方なのでしょう。福利厚生を活用するのは賢い行動ですが、それに振り回されてはいけない。安さに浮かれるのではなく、「これは本当に今の自分に必要か?」と問いかける習慣を持ちたいと思います。
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