新しい職場ではSAPが社内システムとして用いられていました。これひとつあれば人事とか労務とか給与計算とかができます。なによりデータ管理の一元化によって、複数の業務部門に唯一の正確な情報源を提供してしまいます。 これにより、企業は、複雑なビジネスプロセスをより適切に管理できる・・・。
これが謳い文句でした。しかしいざ使ってみるともはや使いづらくて、職場の誰もが「ユーザビリティを無視している」と批判だらけ。ならばなぜ導入した? 新人の私が言っても詮無きことですが。
何よりアイコンの図像が、「なんでこれをクリックするとこの動きなの?」というもの。たとえば「山と太陽」の図像。これをクリックすると前の画面に戻ります。なぜ? 山と太陽と言われると、キャンプとか登山とかを思い浮かべるのが人情というものではないでしょうか。なぜ「前の画面に戻る」なのか。太陽が昇る・沈むというところから時間の経過を表し、すなわち前の画面に戻る(時間を遡る)ということが言いたいのでしょうか。真意は謎ですし、誰も説明してくれません。SAPはそんなのだらけです。クソシステム!!
SAPのアイコン図像は、本当に意味不明なものが多いのです。直感的に理解できるような「戻る」や「保存」といった基本的な動作ですら、なぜか抽象的なイラストで表現されており、初見の利用者は必ず混乱します。たとえば「保存」ボタンにしても、一般的なソフトウェアであればフロッピーディスクのアイコンや雲マークで表されることが多いのですが、SAPでは妙に角ばった図形や曖昧なシンボルで示されているため、「これが保存なのか、それとも別の処理なのか」と戸惑ってしまうのです。
さらに困るのは、そのデザインに統一感がないことです。同じ「戻る」動作ひとつ取っても、画面によっては「山と太陽」であったり、あるいは矢印に似ているような似ていないようなマークが使われていたりと、規則性が見いだせません。ユーザーは自分の経験則を積み上げて操作方法を覚えていくわけですが、このように一貫性がないと、場面ごとに「えっと、これは前に押したボタンと同じ意味だろうか」と迷う羽目になります。結果として、作業スピードは上がらず、かえって余計なストレスが溜まっていきます。
本来、ユーザインターフェースにおけるアイコンは、言語の壁を越えて誰でも直感的に理解できることが理想です。たとえばゴミ箱のアイコンは「削除」、虫眼鏡のアイコンは「検索」といった具合に、世界中どこで使っても誤解が生じないように設計されています。しかしSAPの場合は、ユーザーの頭の中にある「共通のイメージ」とまったく結びつかないシンボルを採用してしまっているため、毎回「翻訳」が必要になります。つまり、図像を見て意味を解釈し、それを自分の業務フローにあてはめるという一手間が生じるのです。
こうしたデザインは、長年使い込んで慣れてしまったベテラン社員にとっては大きな問題にならないのかもしれません。ですが、新人や異動してきた人にとっては学習コストが膨大です。しかも、SAPは企業の基幹システムとして給与計算や人事管理といった重要な業務に使われるものですから、「押し間違い」をしてしまうと取り返しのつかない結果になることもあります。それなのに、肝心のアイコンが意味不明で操作を誤誘導する可能性をはらんでいるのですから、笑い話では済まされません。
ではなぜ、こんな不可解なアイコンが放置され続けているのでしょうか。理由のひとつは、SAPというシステムがあまりに巨大で、世界中の企業に同時に展開されているため、デザインの更新が簡単にはできないからでしょう。ユーザーごとに細かくカスタマイズすることは可能ですが、基本のUIに関しては標準仕様に従うしかありません。そのため、世界共通で「これで良し」とされてしまったアイコンが、そのまま何十年も使い回されているのです。
もうひとつは、開発思想の違いです。SAPはもともとドイツ発祥のシステムであり、合理性や機能性を最優先に設計されています。見た目や使いやすさよりも、「この処理を確実に行えるかどうか」という点に価値を置いているわけです。だからこそ、利用者に寄り添うユーザビリティは二の次になり、「山と太陽=戻る」といった謎仕様が平然と残ってしまうのです。
結局のところ、SAPのアイコン図像は「慣れるしかない」と割り切るほかありません。しかし、新しく触れる人にとっては毎回不思議の国に迷い込んだような感覚を味わうことになります。そして心の中で叫ぶのです。「なぜこれが戻るなんだ! なぜこれが保存なんだ!」と。
さらに困るのは、そのデザインに統一感がないことです。同じ「戻る」動作ひとつ取っても、画面によっては「山と太陽」であったり、あるいは矢印に似ているような似ていないようなマークが使われていたりと、規則性が見いだせません。ユーザーは自分の経験則を積み上げて操作方法を覚えていくわけですが、このように一貫性がないと、場面ごとに「えっと、これは前に押したボタンと同じ意味だろうか」と迷う羽目になります。結果として、作業スピードは上がらず、かえって余計なストレスが溜まっていきます。
本来、ユーザインターフェースにおけるアイコンは、言語の壁を越えて誰でも直感的に理解できることが理想です。たとえばゴミ箱のアイコンは「削除」、虫眼鏡のアイコンは「検索」といった具合に、世界中どこで使っても誤解が生じないように設計されています。しかしSAPの場合は、ユーザーの頭の中にある「共通のイメージ」とまったく結びつかないシンボルを採用してしまっているため、毎回「翻訳」が必要になります。つまり、図像を見て意味を解釈し、それを自分の業務フローにあてはめるという一手間が生じるのです。
こうしたデザインは、長年使い込んで慣れてしまったベテラン社員にとっては大きな問題にならないのかもしれません。ですが、新人や異動してきた人にとっては学習コストが膨大です。しかも、SAPは企業の基幹システムとして給与計算や人事管理といった重要な業務に使われるものですから、「押し間違い」をしてしまうと取り返しのつかない結果になることもあります。それなのに、肝心のアイコンが意味不明で操作を誤誘導する可能性をはらんでいるのですから、笑い話では済まされません。
ではなぜ、こんな不可解なアイコンが放置され続けているのでしょうか。理由のひとつは、SAPというシステムがあまりに巨大で、世界中の企業に同時に展開されているため、デザインの更新が簡単にはできないからでしょう。ユーザーごとに細かくカスタマイズすることは可能ですが、基本のUIに関しては標準仕様に従うしかありません。そのため、世界共通で「これで良し」とされてしまったアイコンが、そのまま何十年も使い回されているのです。
もうひとつは、開発思想の違いです。SAPはもともとドイツ発祥のシステムであり、合理性や機能性を最優先に設計されています。見た目や使いやすさよりも、「この処理を確実に行えるかどうか」という点に価値を置いているわけです。だからこそ、利用者に寄り添うユーザビリティは二の次になり、「山と太陽=戻る」といった謎仕様が平然と残ってしまうのです。
結局のところ、SAPのアイコン図像は「慣れるしかない」と割り切るほかありません。しかし、新しく触れる人にとっては毎回不思議の国に迷い込んだような感覚を味わうことになります。そして心の中で叫ぶのです。「なぜこれが戻るなんだ! なぜこれが保存なんだ!」と。
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