なんとなくそうだろうなとは薄々感づいていましたが、ここまでとは。一流音楽家になれば一度のステージで数十万円から数百万円になることも珍しくありません。そりゃそうですよね、稀有な技能を発揮する人の希少価値が高いのは当然、であれば報酬もこれに連動すべきです。
しかしクラシック音楽のファンなんてたかが知れています。たしか日本人全体の1%くらいだと見積もられていたはずです。これが47都道府県に散らばっているわけですから、東京ならともかく地方都市のクラシックファンはごくわずか。つまり市場が小さく、この市場の中で動いているマネーの量もごくわずか。ということはこの市場で働くということは年収もやはり低くなるわけですね。
青柳いづみこさんの『ボクたちクラシックつながり』という著作によるとクラシックの演奏家の場合、年収300万以上あるのは全体の0.05%だとか。
「週刊東洋経済」には、日本のクラシック演奏家の年収ピラミッドも載っていました。日本音楽コンクール優勝、あるいは海外の有名コンクール上位入賞者レヴェルで、一公演あたりのソリストの取り分は、マネージメント代、源泉税をさしひくと税込み五十万円前後だそうです。コンスタントに公演があるソリストはほんの一握りなため、演奏による年収が一千万円を超える売れっ子アーティストはたったの数十人。一流オーケストラと共演したりサントリーやオーチャードホールでよく名前を見る方々ですね。三百万から一千万円までのアーティストは千五百人。N響以外のメジャーな交響楽団の団員もこのカテゴリーにはいるそうです。経済的に自立できる最低の年収である三百万円以下が五千人。フリーのアーティストや小さなオケの団員がこの中にはいります。もちろんこれだけでは生活していけないので、個人レッスンや音大の非常勤講師をかけもちして生計の足しにします。さらに驚くなかれ、ほとんど収入ゼロの人が二万人もいるとなっています。まさか? と思うでしょう? でも、現実なんです。(青柳いづみこ『ボクたちクラシックつながり』より)
上記引用だと労働者が大体26,600人くらいいることになり、300万円以上の年収はだいたい1600人くらいです。全体の0.05%というと1万人いれば5人が該当することになります。なので「全体の0.05%」というのは青柳さんまたは週刊東洋経済の計算ミスではないかと思います。とはいえやはり演奏活動だけで食べていくのは難しいということには変わりはないでしょう。
つまり、クラシック音楽の世界は一見華やかに見えても、実態はごく限られたスター演奏家だけが光を浴び、多くの人々は経済的に不安定な立場に置かれているのです。これは単に演奏技術の優劣だけで決まるものではなく、市場の構造そのものに原因があります。そもそも観客層が薄く、チケット単価もポップスや演劇に比べると低めに設定されやすいため、総売上が大きくなりにくい。演奏家の努力や才能がそのまま収入に結びつかないのは、この需要と供給のアンバランスに起因しています。
さらに、音楽大学や専門教育機関が毎年多くの卒業生を輩出するにもかかわらず、プロとして活動できる舞台の数は限られています。結果として「供給過多」となり、レッスン料や出演料の下落を招きやすい。加えて、フリーで活動する演奏家にとってはマネジメントの支援も乏しく、営業や広報まで自ら手がけなければならないのが現状です。その一方で、教育現場や地域文化活動の担い手としては一定の需要があるため、実際には「演奏+教育」「演奏+別業種」といった二足のわらじを履くケースが非常に多い。
しかし裏を返せば、それだけ演奏家の存在は社会のなかで多様な役割を果たしているとも言えます。純粋に演奏活動だけで生活できる人はわずかでも、音楽教育を通して次世代を育てたり、地域の文化活動を支えたりすることで、クラシック音楽の裾野は維持されているのです。収入面では厳しい現実が横たわっているものの、その「価値」や「意味」は金銭的な指標だけでは測りきれない、ということも忘れてはならないでしょう。
さらに、音楽大学や専門教育機関が毎年多くの卒業生を輩出するにもかかわらず、プロとして活動できる舞台の数は限られています。結果として「供給過多」となり、レッスン料や出演料の下落を招きやすい。加えて、フリーで活動する演奏家にとってはマネジメントの支援も乏しく、営業や広報まで自ら手がけなければならないのが現状です。その一方で、教育現場や地域文化活動の担い手としては一定の需要があるため、実際には「演奏+教育」「演奏+別業種」といった二足のわらじを履くケースが非常に多い。
しかし裏を返せば、それだけ演奏家の存在は社会のなかで多様な役割を果たしているとも言えます。純粋に演奏活動だけで生活できる人はわずかでも、音楽教育を通して次世代を育てたり、地域の文化活動を支えたりすることで、クラシック音楽の裾野は維持されているのです。収入面では厳しい現実が横たわっているものの、その「価値」や「意味」は金銭的な指標だけでは測りきれない、ということも忘れてはならないでしょう。
参考文献
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