八王子駅から徒歩数分のところにあるJ:COMホール八王子は地域有数の音楽ホールといっても良いでしょう。設備は新しくて快適だし、音響もなかなかだし、多摩方面に住んでいるなら一度はぜひ訪れたいところです。

私もこれまで何度か通いました。2025年7月13日(日)には東京都交響楽団の演奏会でまたやってきました。7月下旬から江東区に引っ越すので、これからは滅多にここに来ることもないだろうなと思いつつ・・・。

で、演奏は素晴らしいものだったのですが(サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲とチャイコフスキーの交響曲第5番だった)、帰り道がよろしくない。規制退場を行うということが事前に告知されていました。緊急事態宣言が出ているわけでもないのに、なんでコロナのときみたいなことを今も続けるんだろう? そう思っていましたが、どうやら帰り道はエスカレーターの輸送能力が限られており、下のフロアでものすごく人が滞留するらしいのです。それってコンサート終了後は2000人が一気に帰る(当たり前)ことを考慮しない建物設計になっているからでは? そう思ってしまいました。というわけで16時にコンサートが終了したのですが、ホールから出たのが16:17。ホールから出る途中も一度エレベーターの前で待機する羽目になりました。そりゃ一気に人が出たら人が転んで将棋倒し事故の原因になるのはわかりますが、東京芸術劇場ではそんなことはありません。やっぱり一気に人が出ることを考慮しない建物設計なんですね。

イベント会場というのは、入るときよりも「出るとき」にこそ真価が問われる、そんなことを改めて感じた一日でした。特にJ:COMホール八王子のように定員1700人を超える規模のホールであれば、終演後に一気にお客さんが退出することは最初から想定されているはずです。それにもかかわらず、会場の構造がそれに対応していないと、出口がボトルネックになって人が滞留し、快適なはずの時間が一転して不快な「足止め時間」へと変わってしまいます。

実際、今回のようにエスカレーターが混雑して階下のフロアで立ち往生するような状況が発生するのは、安全対策という面では一定の合理性があります。しかし、それが常態化しているとなると、「設計に問題があるのでは?」という疑念を抱かずにはいられません。もちろん、すべてのコンサートが満席になるわけではありませんし、普段は問題が顕在化しないのかもしれません。けれども、大規模イベントでは確実に起こる現象を無視したような構造でよいのかという点は、公共施設としての設計思想そのものに問いが向けられるべきだと思います。

これはJ:COMホールに限った話ではなく、全国のホールやアリーナでも見られる課題です。多くの施設では「入れること」を重視していて、「帰らせること」への配慮が後回しになっている印象があります。一番ひどいのは代々木第一体育館です。何がどうひどいのか? ・・・行けばわかります。行ってそのひどさを体感してください。あまりにひどいので私はここで説明しません。

特に高齢者や小さな子どもを連れた観客にとって、終演後の混雑は大きなストレス要因です。加えて、災害時や緊急避難が必要な場面では、このような構造的ボトルネックが致命的な危険をもたらす可能性もあるでしょう。安全面だけでなく、利用者の体験という観点からも、イベント会場の設計は「出るときの流れ」を重視して見直されるべき時期にきていると感じました。

快適で感動的なコンサート体験を最後まで心地よく終えられるよう、施設側にはぜひとも改善に向けた取り組みを期待したいものです。