世界がっかり名物として有名なのはブリュッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫の像、そしてシンガポールのマーライオンです。これらの場所は、有名な観光地でありながら、実際に訪れると期待外れに感じることから、この名前で呼ばれることがあります。その小便小僧に21年ぶりに再会するために私は2025年7月にブリュッセルを訪れました。

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いやー、久しぶりに会えて良かった! 感動した!!
我ながらしょうもないことに労力をかけているわいと自分に自分で感心しました。けれども、旅とは得てしてそういうものかもしれません。誰かにとっては「なぜそんなものを見に?」と思われるようなことにこそ、旅の本質が詰まっている気がするのです。
ブリュッセルの小便小僧、正式には「ジュリアン坊や(Manneken Pis)」。彼はなんと、17世紀からこの場所に立ち続けています。現在の像は、オリジナルが盗難や破壊にあったあと、1965年に再設置された複製ですが、それでも長きにわたってブリュッセルの象徴であり続けています。

見た目は本当に小さい。初めて見たときは「これだけ?」とつい口にしてしまいましたが、21年ぶりに見ると、なぜかしみじみとしたものを感じました。通りの角にひっそりとたたずむその姿は、相変わらずユーモラスで、でもどこか誇り高くも見えました。

小便小僧にはちょっとした習慣があります。それは、彼がときどき衣装を着るということ。実は数百着ものコスチュームが公式に用意されていて、記念日や国際的なイベントに合わせて、消防士やサンタクロース、あるいは各国の民族衣装など、さまざまな格好に着替えるのです。しかもその衣装は、近くにある市立博物館に大切に保管・展示されています。

私が訪れた日は青い衣をまとっていました。観光客がひっきりなしに写真を撮っていて、世界的にはやっぱり人気者なのだなあと改めて思いました。

ちなみに、ブリュッセルにはこの「ジュリアン坊や」以外にも、小便している少女像(ジャンネケ・ピス)や犬の像(ゼネケ・ピス)まであります。どうしてここまで“放尿シリーズ”が増殖したのかは謎ですが、ちょっとしたユーモアと自由な気風を感じます。ベルギーの人々は、歴史や文化を堅苦しくなく、楽しみながら守っているのかもしれません。

今回、私はあえて21年ぶりに小便小僧に会うことを旅の小さな目的に据えてみました。多くの人は「一度見ればもう十分」と思うかもしれません。でも、年月を経てから再訪すると、その場所に対する印象や、自分自身の感じ方が変わっていることに気づきます。

かつては“がっかり”と感じた像に、今回はなぜか心が和みました。あの小さな像は、ブリュッセルの街の記憶と重なって、私にとって特別な存在になっていたようです。

それにしても、わざわざ会いに行くには本当に小さい。地図を見ながら歩いても、見落としてしまいそうなサイズ感です。でも、だからこそ、見つけたときの喜びはひとしお。小さな像の前で写真を撮っている自分に、またしても「しょうもないなあ」と思いつつも、どこか誇らしい気持ちになったのです。

次にまたブリュッセルを訪れることがあれば、そのときのジュリアン坊やはどんな衣装を着ているのでしょうか。あるいはまた、素っ裸のままでたたずんでいるのかもしれません。

「がっかり名所」なんて言われても、私はまた彼に会いに来る気がします。つぎはまた20年後くらいかもしれませんが。そしてそのとききっと彼は今と同じく小便しているでしょう。そして私だけが年を取って老人になっていることでしょう・・・。