「私は、私が言う言葉でできている」。この一文は、一見するとなんだかポエムな響きをもつ表現ですが、実は非常に含蓄がある言葉だと思います。私たちは普段、自分の内面は自分自身のものであり、他者には見えないものだと考えがちです。しかし、このテーマは、私たちの「私らしさ」や「人格」は、自分が日々発する言葉によってかたちづくられているのだ、ということを示唆しています。

まず、私たちは自分自身を語るときに言葉を使います。「私はこう思う」「私はこう感じる」「私はこういう人間です」と言うとき、その言葉の選び方、語り方、表現の仕方によって、周囲の人々は私たちを理解しようとします。つまり、他人から見た「私」は、私が発する言葉に強く依存しています。このとは、実際に転職活動をやってるとわかるでしょう。あなたの言う言葉、語彙のチョイスなどがいかに相手に与える印象に影響を及ぼすかが実感できるはずです。

同じ出来事に対して「ついてない一日だった」と言うのと、「学びの多い一日だった」と言うのとでは、自分自身に与える影響がまったく異なります。言葉は単なる表現手段ではなく、自分の心のあり方や人生の意味づけにも深く関わっています。ポジティブな言葉を選べば、自分自身の気持ちも前向きになり、逆に否定的な言葉を多く使えば、内面もその影響を受けてしまいます。

また、言葉には習慣性があります。たとえば、日頃から「自分はダメだ」「どうせ無理だ」といった言葉を口にしていると、やがてその言葉が本当のことになってしまいます。逆に、「自分にはできる」「チャレンジしてみよう」といった前向きな言葉を繰り返すことで、徐々に自信や行動力が育っていくのです。つまり、私たちは日々、自分自身に語りかける言葉によって、自分をつくり上げているのです。(残酷なことに、自分自身の話法というのは、親の喋り方に無意識のうちに影響を受けています。そして親は選べないのです・・・。ネガティブ思考の親に育てられた子どもはつまり・・・。)

このことは、他者との関係においても重要です。誰かに優しい言葉をかけることは、その人との関係を良好にするだけでなく、自分自身の心も豊かにしてくれます。反対に、他人を傷つけるような言葉を使えば、その言葉は巡り巡って自分自身の価値観や人間性にも影響を及ぼします。つまり、私たちが誰かに向けて使う言葉もまた、自分自身を形成する要素の一部なのです。

現代社会では、SNSやチャットアプリなど、言葉を使う場面が急増しています。そのぶん、私たちが発する言葉の影響力も増しています。「軽い気持ちで書いた言葉」が誰かを深く傷つけたり、「何気ない一言」が大きな共感を生んだりすることも珍しくありません。だからこそ、日々使う言葉にもっと意識を向けることが大切なのではないでしょうか。

「私は、私が言う言葉でできている」というテーマは、自分自身のあり方を見直すきっかけを与えてくれるものです。言葉は私たちの一部であり、同時に未来を形づくる力も持っています。台無しにする力もあります。だからこそ、自分自身に対しても他者に対しても、誠実で温かい言葉を選びたいものです。それが、よりよい自分を育て、よりよい社会を築く第一歩になるのではないでしょうか?