Kindle Unlimitedに登録していると、毎月980円支払うだけで様々な本が読み放題になります。文庫本で2冊、またはハードカバーの本なら1冊読めばもとが取れる計算になります。人間誰しも損得勘定とは無縁ではいられませんから、ついついもとを取ろうとしていろんな本を読み進めます。普段近寄らないジャンルの本にも気軽に手を出すことができますから、自分の知識の空白を埋めることができるという点でもすごく便利ですね。

というわけでいろいろ本をサクサクと読み進めていくわけですが、ある時気づきます。電子書籍ってなぜか記憶に残りにくい。なおかつ、サクサク読むともっと記憶に残りにくい。結局何やってんだ自分ということになります。

ではどうしたらいいのか? そもそもサクサクと読むという考え自体が浅はかでした。というわけでわざとでもいいので読むスピードを落とすことが重要です。電子書籍は紙の本と違ってページをめくる動作が簡単で、気軽に次へ次へと進めてしまいます。まずこれが罠でした。そんな読み方では内容をしっかり噛みしめる前に次の情報が流れ込んでくるため、結局何も残らないという状態になりがちです。私がまさにそれ。速読の技術を活用できる人もいますが、私はできません。よって無意味な読書になっていました。

また、一冊の本をじっくり味わうことも大切です。文芸作品ならなおさらですよね。
特に知識を深めたい本や考えさせられる内容の本は、速く読むのではなく、内容を理解しながら進める方が有益です。そのためには、途中で立ち止まって考える時間をこれまたわざとでもいいので作るのがよいでしょう。読み終わったら感想をどこかに書いてみるという作戦もアリでしょう。私の場合はブログですね。誰も読みに来ませんが。友だちいない研究所とはよく言ったものでネット上でも友だちがいません。ワハハ!

さらに、読む本の選び方にも注意が必要です。読み放題のサービスを利用すると、「とりあえず元を取らなきゃ」と考え、多くの本を次々に消費しがちです。しかし、読書は本来、数量ではなく質が重要です。無理に多くの本を読もうとするのではなく、本当に読みたいと思えるものを読むのが大事ですね。何しろ読書に使える時間なんて無限じゃありませんから・・・。

結局のところ、読書の目的は単にページをめくることではなく、知識や考え方を自分の中に取り込むことです。本を読むということは良いことですが、それ自体が目的になっては本末転倒というものです。速く読むことよりも、しっかり理解することを重視した読書を心がけるべきでしょう。特に電子書籍を活用する際には、その利便性に流されすぎず、自分のペースでじっくりと読書を楽しむことが大切です。

それにしても、サクサク読めるというのが電子書籍の利点だというのなら、そもそもあまり頭に残らなくてもいいような、軽めの漫画とかエッセイにこそ向いてるのかもしれません。正直、ニーチェとかプルーストを電子書籍でじっくり読む、というスタイルっていまいち想像できませんもの・・・。