八王子駅または拝島駅からバスに揺られること20分。拝島って言ったら東京の外れです。言い方が失礼かもしれませんが、横田基地が目の前にあるのでもう東京の外れという表現はかなり当たっているはずです。そこからバスで20分だなんて、東京都民ですら行くことをためらう場所にあります。東京富士美術館が。
私がこの美術館の存在を知ったのは25年以上前のこと。よしておけばいいのに八王子駅からてくてく歩きました。ちゃんとバスを調べれば簡単に行けた(いや言うほど簡単じゃないが)のに、なぜか歩きました。アホである。
時は流れ、私もまた東京の外れに暮らすようになりました。ということは東京富士美術館へのアクセスが簡単になったということです。といってもやはりためらいを感じるほどのめんどくささ。
というわけで20年以上ぶりで改めて足を運んだのが東京富士美術館。あまりに昔過ぎて、どういう展示があったのかすっかり忘れていました。再び訪れて、コレクションの充実ぶりに驚きました。
入ってみてびっくり、常設展にはあの有名画家たちの作品が並んでいます。
この絵画は、ベルギーの巨匠ルーベンス。アントワープとかブリュッセルに行くと山のように作品を見ることになる、あのルーベンスです。東京富士美術館も収蔵していました。
この構図ってどこかで見たことあるような。このタッチも見覚えがある・・・、そう、アングルでした。え、あのアングルがここにもあるの!? この作品は「ユピテルとテティス」。エクス=アン=プロヴァンスにあるグラネ美術館の代表的収蔵品ですが、こちらは同題、同一構図の小品のようです。小品といっても家の窓くらいあるサイズです。うへっ、恐れ入った。
この人物の説明はいらないでしょう。ポール・ドラローシュが描いた彼。「フォンテーヌブローのナポレオン、1814年3月31日」です。なんだその日付は。深い意味があるのか? 調べてみたら、反ナポレオンの連合国軍がパリに入城した日でした。ナポレオンはフォンテーヌブロー宮殿の小アパルトマンに逃れましたが、4月6日に退位を迫られ、エルバ島へ流刑となるのでした。
こちらはマネの「散歩(ガンビー夫人)」。マネまであるのか。黒い服を着用したこの女性はオルセー美術館に収蔵されている「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」を連想させます。背景が明るいだけに、この黒い服はいっそう際立ちます。
この他にもフラゴナールとかナティエとかワトーとかドラクロワとかルノワールとかダリとかデ・キリコとか、「おいおい今まで隠してやがったな、なんで誰も教えてくれないんだ」(友だちいないからです)と、ここまで足を運ばなかったのを悔やむほど。展示品は定期的に入れ替えられているようですから、年に1回くらいは訪問する価値はあるでしょう。
ちなみに併設されている喫茶店もおしゃれでおすすめです。アメリカンコーヒーを頼んだらかなり容量がありました(自分調べ:喫茶ルノアールの倍くらいの量)。これはお得です。
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