ヴァイオリンの弓の毛というのは定期的に張り替えなければなりません。天然素材なのでどうしても使っているとへたってきて、だんだんと音質的にイマイチになってしまいます。なのにその日々の変化というのは緩やかなものなので、自分では何がどんなふうにイマイチになってきているのか気づきにくいものです。弓の毛(馬毛)は、長期間の使用で徐々に摩耗し、滑りが悪くなったり、音がくすんだりすることがあります。また、使用頻度や湿度の影響で毛の張り具合が変化し、コントロールが難しくなることもあります。実際問題、◯ヶ月ごとに弓の毛を張り替える、のように自分なりにサイクルを決めて職人さんにお願いしている人がほとんどではないでしょうか。

私も夏と冬の2回、弓の毛を張り替えることにしています。弓が2本あるので費用は倍かかります。別にいいのですが普段使っている練習用の弓と練習以外の用途(レッスンのときとか、本番とか)の弓と、使い込み具合では前者のほうが明らかに上なので、同じタイミングで2本とも張り替えるというのはいまいちロジカルではないのですが、何度もお店に顔を出すのも面倒なので機械的にとにかく持ち込みます。

弓の毛の張り替えも即日で完了しないことがあるので、1,2日ほど自宅を空ける(旅行など)ときに東京駅とか羽田とかに向かう途中にお店に弓を預けるわけですが、2024年末にも沼津で「ラブライブ! サンシャイン!!」ゆかりの地を訪れる(要するに聖地巡礼ですね)ついでに弓の毛の張り替えを依頼し、大晦日に引き取ってきました。松脂を塗って音を出してみると・・・。反応のいいこと、いいこと! これは自己肯定感が高まります!

さて、年末年始に弓の毛を張り替えるメリットは大体次のようなものでしょう。

音質の向上
新しい毛は松脂をしっかり捉え、弦との摩擦が均一になるため、音が明るくクリアになります。演奏の際のレスポンスも向上し、自信を持って弾けるようになります。

精神的リセット
新しい毛に張り替えることで、楽器に対する愛着が増し、「今年も新しい気持ちで頑張ろう」という前向きな気持ちを得られます。これは演奏に対するモチベーションアップにもつながります。

自己肯定感の向上
新鮮な音色で演奏することで、「自分の演奏が上手くなった」と感じられる瞬間が増えます。これが自己肯定感を高め、日々の練習の質を向上させます。大体錯覚で、そんな調子でレッスンに行くと「こんなとこ間違えんな」と言われるのが関の山ですが。

とりあえず弓の毛も新しくなったことですし、バッハの無伴奏とかヴィルトゥオーゾ曲を試しに鳴らしてみると良いでしょう。ハイドンとかモーツァルトの協奏曲もいいですね。たぶん「ああ、いいなあ」ということが実感できるはずです。客観的に自分がうまいかどうかは別として、リサイタル時のジャイアンのように楽しく音楽できることは間違いないでしょう。

ちなみに年末年始とか、新学期が始まるタイミングとかは弓の毛を張り替えようとしても「注文が殺到して」とかで希望通りに行かないことがあります。私も過去にありました。このため、事前に電話とかメールで相談して予約するのが吉でしょう。