日々働いていると、毎日長尺のクラシック音楽を聴くというのはなかなか難しいものです。交響曲はだいたい40分というのが一つの相場として定着していて、ベートーヴェンの『田園』とかブラームスの『交響曲第1番』などがこれ前後の長さに収まります。モーツァルトやハイドンの交響曲は20分~30分くらい。当時はそれくらいの長さでOKだったのですがベートーヴェンの『英雄』で一気に規模が拡大しました。この作品は全曲聴くのに50分かかります。
時代が下るにつれて交響曲は長くなります。ベートーヴェンの『第九』があの長さを必要としているのはまあわかるとして、ブルックナーの交響曲は指揮者によってはCD1枚に収まりきらず2枚組ということもありますね。マーラーの交響曲もCD1枚に収まることは収まるものの演奏時間が77分とかいうもはやギリギリの線を攻めるものもあります。まさかCD1枚に収めようとしてその演奏時間にしたのでしょうか。交響曲ではありませんがゲルギエフの『くるみ割り人形』も快速テンポで79分と、狙っている感があります。
他方で、世の中には(あまり実在しませんが)交響曲カット版というのもあります。長すぎて駄作になっているからコンパクトにまとめてやろうとか、レコードに収録できないからとか、色々理由はあったのでしょう。
ポール・パレー指揮のラフマニノフ『交響曲第2番』もそのひとつ。もともと普通に演奏すれば60~70分はかかる作品です。パレーの場合、なんと43分くらの長さになっています。相当大胆なカットをしています! どうやら録音当時全曲版の存在はほとんど知られておらず、カット版を使うことが通常だったようです。想像ながら、当時の人はこの曲の本当の値打ちに気づいておらず、「長いし、こうやってカットすればちょうどいい長さになってみんな喜んでもらえるかな」とか思われていたのでしょう。というわけで交響曲の通常規模である40分のサイズとなりました。
パレーはフランスの指揮者で、この録音は1957年にデトロイト交響楽団とともに行われています。同じCDに収録されているフランクの『交響曲』もそうですがパリッとした明晰さが感じられ、見通しがよいのが特徴です。どうやら彼はフランスものだけではなく、ロシア音楽においてもその才能を発揮したようです。デトロイト交響楽団とのコンビネーションは非常に緻密で、オーケストラの各セクションがバランスよく響き合い、細部まで磨き上げられたアンサンブルが楽しめます。ラフマニノフの『交響曲第2番』はロシア的な情感を基調としていますが、パレーのアプローチはそこにフランス音楽的な洗練を加えています。この融合により、曲全体が重くなりすぎず、聴きやすくも深みのある仕上がりとなっています。
なにより、1曲40分で聴けるというのが(私としては)嬉しいです。1曲60分、70分となるとちょっとためらいというか、戸惑いを感じてしまいます。これがラフマニノフが望んだ作品の姿ではないことはちょっとひっかかりますが、作品を日常的に楽しむ、という点ではこういうスタイルもアリでしょう。
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