カラヴァッジョというと西洋の絵画に詳しい人なら「あ、あいつね」と作品の1つや2つくらい頭に浮かんで来ると思います。ウィキペディアにはこう書かれています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(伊: Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月29日 - 1610年7月18日)は、バロック期のイタリア人画家。一般には単にカラヴァッジオ(カラヴァッジョ、カラバッジオ、カラバッジョとも)の名で呼ばれる。

ルネサンス期の後に登場し、1593年から1610年にかけてローマ、ナポリ、マルタ、シチリアで活動した。あたかも映像のように人間の姿を写実的に描く手法と、光と陰の明暗を明確に分ける表現は、バロック絵画の形成に大きな影響を与えた。
彼の明暗がはっきりした画風はその後のレンブラントたちに影響を与え、写実的な描写でバロック美術に革新をもたらしました。それだけでなく、宗教画や神話画において、日常の風景や庶民的なモデルを取り入れることで親しみやすさと感情的な力強さを生み出しました。

大胆な構図も随分とインパクトがあります。つまりドラマチックってことですね。カラヴァッジョのスタイルは「カラヴァッジスティ」と呼ばれる追随者たちを生み出し、イタリアやフランドル地方を中心に広まりました。また、現代美術や映画においても、彼の光と影の対比やリアリズムは視覚表現に影響を与え続けています。

といっても彼の作品点数は限られており、多作とは言えません。日本でも所蔵している美術館を知りません。

その彼の作品のうち、ある1枚は長らく個人所蔵とされ、人びとの目に触れることなく数百年の時を過ごしていました。
が、

長らく個人コレクションとして保管されてきたカラヴァッジョ作品が、11月22日、イタリア・ローマの国立古典絵画館(バルベリーニ宮殿)で公開されたとニューヨーク・タイムズが伝えた。

この絵画《マフェオ・バルベリーニ教皇の肖像》は、カラヴァッジョ作品の中でも数少ない肖像画だ。モデルのマフェオ・バルベリーニは1623年にウルバヌス8世として教皇に選出された人物で、教皇領の拡大や三十年戦争の指揮をする傍ら、芸術を支援した。

(中略)

この絵画は約300年にわたって代々受け継がれ、1930年代にバルベリーニ家が所有地を売却した際に初めて手放された。そのため、この絵画には関連資料が一切なく、1963年代にイタリアのカラヴァッジオ研究家ロベルト・ロンギがバルベリーニ家の肖像画に関する論文を発表するまで知られざる作品であり続けた。

(Yahoo!ニュース2024年11月29日配信記事「幻のカラヴァッジョ」がついに公開! 300年間ローマの名家が守り抜いた作品」より)

そんなことがあるのか・・・。実際問題、彼の作品は現存するものが非常に少なく、どうやら約80点ほどしか確認されていないようです。そのため、新たな公開や展覧は極めて貴重です。

また、個人が所有していたということは専門家の修復も数百年にわたってなされていないことが想像されます。それが美術館で公開されたということは、鑑賞に耐えうるだけの修復を経ているということなのでしょう。

ちなみにこの絵画が公開されているバルベリーニ宮殿は「ローマの休日」の舞台にもなりました。オードリー・ヘップバーン演じるアン王女が宿泊している、という設定でした。そして最後にブラッドリー記者に「もう行かなくては」と名残惜しそうに門をくぐるのもここ。

ただし、ラストシーンの記者会見は、バルベリーニ宮殿ではなくコロッセオ近くにあるコロンナ宮殿で撮影されています。こちらは土曜の午前のみ公開されているようですので、ローマに滞在していて土曜が重なったらぜひ訪れるべきでしょう。

それにしてもカラヴァッジョのこの名品が日本に来ることはあるのでしょうか。たぶんないでしょう。見たければローマに来なさい、っていうことでしょうね。でもローマは無理してでも行くべき場所です。10年ぶりに訪れて強くそう思いました。