ユニバース25という実験があります。AKB48ではなくユニバース25です。ユニバース25は、1968年にアメリカの動物学者ジョン・B・カルフーンによって行われた実験で、ネズミの社会における行動と過密状態がどのように相互作用するかを調べたものでした。この実験では、ネズミが快適に生活できる環境(十分な食料、清潔な水、外敵なし)が用意されました。当初、ネズミたちは繁殖し、個体数が急速に増加しました。しかし、環境が過密状態に達すると、社会的行動が崩壊し、次のようなことが起こってしまいました。
・攻撃性の増加。オス同士の争いが激化し、攻撃的な行動が目立つようになった。
・育児の放棄。メスが育児を放棄し、子どもが十分に育たなくなった。
・孤立と無関心。一部のネズミは他者との接触を避け、孤立した状態で生きるようになった。
・繁殖の停止。ネズミの繁殖率が低下し、ついにはほとんど繁殖しなくなった。
結局、実験環境内のネズミの全個体が絶滅しました。理想状態のはずなのに、なぜか絶滅してしまったのです。この現象をカルフーンは「行動のシンク(Behavioral Sink)」と呼び、人間社会にも警鐘を鳴らしました。
・育児の放棄。メスが育児を放棄し、子どもが十分に育たなくなった。
・孤立と無関心。一部のネズミは他者との接触を避け、孤立した状態で生きるようになった。
・繁殖の停止。ネズミの繁殖率が低下し、ついにはほとんど繁殖しなくなった。
結局、実験環境内のネズミの全個体が絶滅しました。理想状態のはずなのに、なぜか絶滅してしまったのです。この現象をカルフーンは「行動のシンク(Behavioral Sink)」と呼び、人間社会にも警鐘を鳴らしました。
過密がもたらすストレスというのは東京に暮らしていると「あ、わかるな」と思い当たる方も多いのではないでしょうか。たとえば満員電車のストレスは、イギリスの研究者によると、満員電車で感じるストレスは、戦場にいる兵士と同じレベルだというのです。ガダルカナル島とかペリリュー島とかで日本兵が感じたストレスに比べれば大した事ないと思うのですが、とにかく戦場の兵士と同じレベルだそうです。
ちなみに私も電車が嫌です。というか電車が嫌なのではなくて人が嫌いなのです。嫌いな「ヒト」が密集しているなんて地獄です。だから通勤には自転車を使っています。
要するに東京のような過密都市は、それ自体がストレスを高める要因となっているわけです。過密状態では個人間の衝突や孤立感が増加し、コミュニティの崩壊を招くリスクがあることをユニバース25は示しています。
他方で、ユニバース25では、陰キャ・ぼっちネズミが現れています。上記の、「孤立と無関心。一部のネズミは他者との接触を避け、孤立した状態で生きるようになった」です。過密状態が継続するとネズミのコミュニティが不安定になる一方で、一部のネズミが他者と接触を避け、「美しい者たち」と呼ばれる無関心な個体群が形成されました。なぜ美しいのか? それは、他者と接触を避けていたからです。他のネズミと闘争しないので怪我をせず、毛並が美しい状態をずっと維持できたわけです。その一方でこのネズミたちは繁殖行動を避け、コミュニケーションを取らなくなりました。
結局、ストレスによる暴力的なネズミが増える一方で、陰キャ・ぼっちネズミが増えて繁殖が停止し、死が続き、最後には実験の終息を迎えることとなりました。この実験の目的は都市計画におけるシミュレーションであり、「もしも楽園のような生活環境があった場合、どのような社会が形成されるのか」を考察するためだったようです。でも楽園のような生活環境を与えられると、陰キャ・ぼっちが生まれるなんて、ネズミもなんだか人間的だなあ・・・。
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