ランニングするときにランニングウオッチを使っています。これならGPSで走行距離を計測可能で、1km走るごとに時間を表示してくれるのでペースチェックに持って来いです。

ところが落とし穴がありました。GPSというのは微妙にずれるのです。いつも同じコースを走っているので、同じ地点に到着したら1kmと表示されるかというと、そうではない。いつもはこの電信柱の横で1km地点のはずなのに、その数十メートル手前で1kmと表示されたり、100メートルくらいさらに走ったところでようやく1kmと表示されたり。

調べてみたところGPSというのはそもそも常に正確というわけではないようです。GPSの人工衛星は地球の約20,200 kmの高度で飛行・・・というか巡航?(宇宙空間なのでどちらの語句が正しいのでしょうか)しています。どうやら約12時間で地球を1周するようです。これくらいの高度に位置しているからこそ広い範囲で安定したGPS信号を地球上に提供することができるようなのです。

反面、それだけ離れていれば1kmあたり数十メートルの誤差というのは本当に「誤差」と言っても差し支えないでしょう・・・。むしろそんなに遠距離からよく測定できますね。

GPSは衛星からの信号を利用して位置を特定しますが、信号の伝達に障害があると正確な位置が計算されにくくなります。例えばマンハッタンみたいな高層ビル街では信号が遮られるため、誤差が生じやすくなるようです。東京マラソンを走ったがGPSに誤差があった、というのはこれが理由のようです。その他、トンネルの中も信号が遮られてしまいますね。

また、ランニングウォッチは定期的にGPSで位置を測定しますが、その間に移動した分が正確に反映されないことがあります。たとえば、カーブの多い道やジグザグに動いた場合、ウォッチが直線的に距離を計算してしまい、実際の走行距離よりも短くなったり長くなったりするようです。

しかも各メーカーのランニングウォッチは、GPSデータをもとに様々なアルゴリズムを使って走行距離を計算しているようなのです。でも計算方法の違いが誤差の原因になることもあります。ただそれだと一体何のために計算したんでしょうね・・・。

こうやって考えていくと、GPSというのはいつも正確だとは限らない、と結論づけるのが妥当と言わざるを得ません。ペースは一定なのになぜか1kmあたり30秒くらい違う結果になっているのも、「そりゃそういう商品なんだよ」と片付けるほかありません。一体何のためのランニングウオッチだと思ってしまいますが、もう「そういう商品」なんですね。

このほか心拍数や消費カロリーも測ってくれたりするわけですが、どうやらこれも正確とは言えないほど実態と乖離が大きいようです。

それだとデータを元に科学的に分析ができなくなってしまいますが、あまりデータにこだわりすぎると私達人間がデータのために存在するようになってしまいますから本末転倒です。2024年現在のランニングウオッチの機能の正確さは、「機械が何か言ってるけど、まあそんなもんかな」くらいに受け止めておくのが良いと思います。