ジャポニカ学習帳のようなノートは100円~200円くらいで買うことができます。それで十分ノートの役割を果たしています。これがキャラクターグッズならもうちょっと高くなるでしょうか。
もしも東大生が受験勉強のときに使っていたノートとなれば、科目にもよりけりですが何千円、何万円という金額を払ってでもほしいという受験生がいるかもしれません。
もしそれが、たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチのような天才の残したノートとなると一体どれくらいの価格になるでしょうか。
実際に1994年にビル・ゲイツが彼の直筆ノートの一つであるレスター手稿をクリスティーズ・オークションにおいておよそ30億円で落札しています。以後、毎年1回世界のどこかで現物が公開されています。1年に1つの国、たった1箇所だけというものすごく貴重な機会です。とはいえ世界にたった1冊しかなく、もし万が一失われてしまったら復元不可能なわけですから展示する側の気持ちもわかります。日本でも2005年に披露され大変な反響を呼びました。
なお、この手稿はその後デジタル化され、インターネットがあれば手軽に中身を見ることができます。でもメモがびっしり書き込まれていて内容まったく意味不明。というかアルファベットの雰囲気がなんだかおかしいです。
そう、これはいわゆる鏡文字(左右が逆)というやつですね。ダ・ヴィンチは左利きで、逆さ文字のほうが自然に書けたのではないかという説があります。左手で普通の文字を書くとインクが滲む可能性が高いですが、逆向きに書くことでそれを防ぐことができたとも考えられています。
また、彼のメモにはしばしば科学的な発見や発明のスケッチが多く含まれていたため、それらを簡単に他人に読まれないようにするために鏡文字を使ったという説もあります。これにより、彼の研究や考えが盗まれるのを防ごうとした可能性があります。ようするにパクられないようにするためですね。でも一度盗まれて所在不明になれば、犯人はじっくりと読み解くことができたので、パクリ対策としてはあまり高度ではない気がします。
それとも頭が良すぎて、ついこういう書き方になってしまったのでしょうか。あるいは遊び心として、左右逆の文字を書くのが好きだったのでしょうか。真相はいまも明らかになっていません。
同じくクリスティーズでは、2017年にダ・ヴィンチの絵画とされる「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の508億円でサウジアラビアの皇太子によって落札されました。過去最高落札額はピカソの「アルジェの女たち」の215億円。つまり過去最高の2倍という大幅な記録更新となりました。つまりは世界一高い本、高い絵画の2つのジャンルをレオナルド・ダ・ヴィンチという一人の人物が制覇してしまったということになります。
ちなみに日本人サラリーマンの平均的生涯獲得賞金は2.5億円と言われています(給与・賞与から控除される税、社会保険料は考慮していません)から、12人生分(480年くらい)働けばダ・ヴィンチのノート1冊が買えることになります。
もし「サルバトール・ムンディ」が買いたい、ということであれば203人生分(8120年くらい)働けば大丈夫です。いや全然大丈夫じゃない。
要するに天才がこの世にもたらす価値というのは、サラリーマンがもたらす価値などとは比べ物にならないということですね・・・。
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