子どものころ誰もが読んだことがあるであろう「ドラゴンボール」。バトル系漫画の王様と言っても過言ではないでしょう。孫悟空がレッドリボン軍やピッコロ、ベジータそしてフリーザ、セルを撃退する。敵を倒せば次にはもっと強い敵があらわれて、さらにもっと強い敵があらわれる・・・。まあ要するに戦力インフレというやつですね。
しかし次から次へと敵キャラが出てくるということは、どんどん必殺技を考えて、もっと読者を惹きつけるネタを考案しなければならないということでもあります。となると連載が進めば進むほど条件が厳しくなり、どんどんネタ切れに近づく、時間もなくなる、ということになるでしょう。しかし人間の体には限界があります。仕事を完璧にこなしたいという気持ちは誰だってあるでしょうし、漫画家というクリエイターであればそのプライドはひとしおであることが想像されます。
一体鳥山明先生はどうやってその問題を解決したのか・・・。じつはとんでもない時短ネタがありました。
鳥山明先生の究極の時短ネタ
どうやら鳥山明先生は努力だけで「ドラゴンボール」の評価を獲得したわけではなかったようです。どうすれば仕事が簡単に終わるか、ということを考える習慣を持っていたようなのです。
例えばベジータのような侵略者がやってきて街を破壊するとします。じつはこれ、単にベジータの力を見せつけるのが目的だった、というわけではないのです。建物を背景に描くのが面倒だったから、というのが理由だったようなのです。いちいちビルとか道路を背景に描き込んでいると時間がかかりますよね。でも廃墟になって、いや跡形もない状態ならそういうものを描かなくてOK。ベジータがいかに恐ろしいやつかも表現できて一石二鳥。
ベジータを倒そうと超サイヤ人になると、髪が金髪(白黒のジャンプでは白)になります。これも髪の毛に色を塗らなくて済むというメリットがあります。強くなったことがアピールできて作画の手間も省けてラッキー!
もっと恐ろしい敵が現れると、「精神と時の部屋」で修行を行います。なにもない空間が広がっているそこは、ストイックに修行に専念しろとでも言いたげです。つまり背景を描かなくていいわけです。
これは鳥山明先生が手抜きをしたというわけではなくて、締切に間に合わせ、なおかつ読者を惹きつける作品を作ろうとするためにはどうしたら良いかを考えた結果としてこうなったと見るべきでしょう。
週刊誌連載という厳しい環境に迫られて、「ドラゴンボール」の絵が生まれたと考えると、まさに「必要は発明の母」と言えます。
別の言い方をすると、何かを達成するためにがむしゃらに正面突破する必要は必ずしもないということになります。別のやり方はないか、もっと楽にできる方法はないか。もっと手順を少なくすることができないか。そういうことを意識しながら仕事や創作を進めていくと、どこかで大幅な効率アップ術を発見できるかもしれません。
参考書籍
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