私はランニングのために何度も諏訪湖を訪れています。一周16kmという距離が練習にちょうどよく、またアップダウンもなく、東京よりも若干気温が低く、また立川から2時間くらいで到着できてしまうというすぐれモノ。

2024年9月も諏訪湖を訪れました。その時何度も訪れた割には一度も乗ったことがなかった諏訪湖遊覧船に乗船してみました。これは大人1,100円(2024年9月時点)でおよそ30分かけて諏訪湖の中ほどをぐるりと巡るというコース。なんだ、ただの遊覧船かと(そりゃ遊覧船なんだから当然なのだが)思うかもしれませんが、季節によっては非常にきれいな景色が眼の前に広がり、「ああ、自分はこの場所に来られて本当に良かった」と思えること間違いなし、自己肯定感が上がること間違いなしの体験になるのです。


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諏訪湖の遊覧船から見える景色の美しいこと

雨天時とか真夏とか真冬だとそうならないのかもしれませんが、少なくとも私が乗ったときは上記の画像のような景色が広がっていました。といっても写真だといまいち伝わらないかもしれません。

頭上に立ち込める雲が風に流されると光が斜め上からさっと差し込まれ、薄墨を流したような黒い湖面に光が当たるとそこだけシルバーになります。しかも一瞬ごとに微妙に水の反射は表情を変えてキラキラと儚い光を見せてくれるのでした。

これって、どこかで見たような・・・、そう、カミーユ・コローの「モルトフォンテーヌの思い出」のような幻想的な銀灰色・・・?

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眼の前の湖の神秘的な景色と、自分の頭の中にあるコローの空想上の風景画の記憶が重なり合い、自分は今目を覚ましているのか夢を見ているのかいまいち分からなくなってきます。

もちろんこれは暑くもなく寒くもないという気温、空気がある程度澄んでいて視界が良く、雨が降らない程度に適度に雲があるという、気象条件に恵まれたからこその体験です。真夏だったらこうはならなかったはずです。

それにしても遊覧船でこういう感覚に陥るなんて、嬉しい想定外でした。

ちなみに遊覧船は「すわん号」と「スワコスターマイン号」の2タイプありまして、私が乗ったのは後者のほうです。すわん号は1階も2階もガラス窓から景色を見る設計になっているので、もし私がこちらに乗っていたら水や光が戯れる様子はそこまではっきりと見られなかったかもしれません。
「スワコスターマイン号」は2階には屋根がなく、ようするに露天の設計です。風を感じながら景色を楽しむことができます(絶対に8月の直射日光は辛いと思う)。

なお、遊覧船は視界不良の場合や荒天時には欠航となることがあります。まあそれも当然ですが、自分が乗ろうと思っていた時にそうなってしまった場合のプランBとして300メートルほど離れたところにある片倉館や諏訪市美術館を見学する、または方角は逆ですがやはり数百メートル~1kmほどのところにある間欠泉センターやサンリツ服部美術館、北澤美術館を訪れるという手があります(ただし雨の中を1km歩くのも結構辛い)。

とはいえうまく好条件が重なればプライスレスな体験ができることは間違いないでしょう。秋ならおそらく私が上に記した状況にわりと遭遇しやすいと思います。幸運をお祈りいたします。