ツアー旅行ならともかく、個人旅行となると駅・空港に到着してからホテルに向かい、チェックインするのも自力でやらなくてはなりません。

ホテルにチェックインするなんて朝飯前だろうと思っていると以外とそうでもありません。間違いなくこの住所なのだが見たら雑居ビルみたいな感じで1階がお店、2階以上が人が住んでいるマンション(らしい)という謎な建物だったりすることがあります。
そういうときは大抵、そのビルのたとえば3階から5階までがホテルとして使われていて、3階がフロントだ、というような作りになっています。カラオケ店でも雑居ビルのなかで営業しているとそんな感じですよね。入り方は簡単、入口の扉の横を見ると一部屋に一つずつ呼び鈴がありますから、「〇〇HOTEL」と書かれた呼び鈴を押すとインターホンで応答がありますから、「ハロー、アイアムなんちゃら、アイハブリザベーションなんちゃら」とそれっぽいことを怒鳴っているとオートロックが解除されて中に入れます。

しかし世の中には「中に入れないホテル」というのもあります。フィレンツェのピッティ宮の前にある某ホテルがそれでした。
このホテルも呼び鈴を押してインターホンでスタッフと応答して中から解錠してもらうというもの。もしくは4桁の暗証番号を入力するか、後で知ったのですがホテルの自室の鍵をかざすと解錠できます。しかしフロントのスタッフは17時になると帰宅してしまうのです。つまり17時以降にチェックインしようとすると中に入れません。暗証番号なんて知るはずもありません。

私は18時頃到着しました。当然スタッフはいません(初めて到着したときには、中にスタッフがいないということも知らない)。呼び鈴を押しても応答がありません。扉が閉ざされて中にも入れません。とんでもない話ですが、何も知らない私は「なぜ返事がないのだろう」と疑問に思うばかり。

すると隣のレストランのスタッフが「暗証番号ダロウ? 知ッテルゼ 開ケテヤルヨ」とイタリア語で言いながら数字を入力。これで中に入れました。でもなんで知ってるの?

中に入るとフロントのデスクの上に「Dear Mr. 〇〇 、あなたは明日朝チェックインの手続をしてください。入口の扉の暗証番号は〇〇です、部屋では〇〇が使えます、云々」という手紙と部屋の鍵がありました。しかし暗証番号は〇〇ですって情報は到着前に知ってないとなんの意味もないんですけど・・・。これで成り立っているのがイタリアであり、一時が万事こんな感じでした。

ヨーロッパは建物が古いので、もともと他の用途で使われていた建物が改装されてホテルになった、というような物件が多いようです(個人的経験)。したがって入口がわかりにくかったり、水回りの設備は「後付けでこんなふうにするしかなかったのかな」みたいな感じがしていたり、コンセントの位置が微妙に使いづらいことがよくあります。私はイタリア旅行で懲りて延長コードをスーツケースにいつも入れておくことにしました。「延長コードはあると便利」。もしかしたらこれが2024年のイタリア旅行で得た最大の学びだったのかもしれません。