イタリアでは日本以上に電子決済が進んでいます。有料トイレに入ろうとしたとき、硬貨だけではなくクレジットカードをタッチすればゲートが開くのを見たときはさすがに驚きました。そのほか、路上で土産物を販売しているおっさんもクレジットカード決済端末を持っていたりとか、いろいろ便利でした。これなら多額の現金を持ち歩く必要がありませんね。
でも現金もあったらあったで便利なのも事実です。というわけで、現地のATMでユーロを下ろそうとするとこれも便利です。なにしろ街中にやたらとATMがあるのですから。私も試しに100ユーロを下ろしてみました。私が使っていたのはSMBC信託銀行のグローバルパスというカード。これはイタリアで使えばユーロが、イギリスで使えばポンドが、アメリカなら米ドルが、自分の外貨預金の該当通貨口座から引き落とされるというもの。私は今よりもずっと円高だったころにユーロを持っていたので、これを下ろすつもりでした。つまり円安の影響はある意味無関係。しめしめ。
ところがやられました。ATMが曲者でした。100ユーロがなぜか1万9千円と日本円に換算され(しかもやけに高い)ています。これはまあ理解できます。日本人だから日本円で計算してくれたのでしょうと好意的に理解しました。というわけで100ユーロをゲット。
数時間後。ホテルに戻って、ちゃんと外貨預金から100ユーロ少なくなっているか調べてみました。が、外貨預金がぜんぜん減っていません。なぜ? 代わりに日本円の普通預金口座から1万9千円少なくなっています。ていくか100ユーロで1万9千円は高い、これはいったい・・・。
おかしいと思って調べてみたところ、DCC取引というものがあり、私はこれに対する予備知識がなく見事に引っかかってしまったというわけです。
DCC取引というのは、たとえばイタリアならユーロ建てでお金を表現すべきところ、なぜか自国通貨(日本人なら円建て)で表示され、なおかつ実際のレートよりも1割以上不利な設定になっているというもの。お金を下ろすわけだからACCEPT CONVERSIONを選べばいいだろうと思っていたらまるで違いました。なおかつ、お金を下ろす時も「ああそうかな」で済ませていたのですが、THIS ATM WILL CHARGE YOU 3.4 EURというのも曲者以外の何でもありません。
このDCC取引のATMは、私が街中を歩いていて見かけた限りですと、街の広場などいかにも便利そうな場所に設置されているものほどそうであり、普通の銀行のATMはそうではなく、通常通り外貨預金から現地通貨が下ろせる、というふうになっているようです。
それにしても、「ちゃんと外貨預金から外貨が落ちているか調べてみよう」という慎重さがなければいつまでも気づかぬままだったかもしれません。海外旅行というのは、本当に日本とはまるで違う、「日本人にとって分かりやすい円建通貨という善意に装った事実上の悪意」がナチュラルに存在します。こりゃ危ないわ。
コメント