オードリー・ヘプバーンが主演した、彼女の代表作といってよいほどの知名度を誇る映画『ローマの休日』。この作品ではアン王女が失踪し、つかの間のローマの休日を満喫します。そしてふたたび自らの責任に向かい合い、王女としての姿で記者団の前に立ちます。このラストシーンで使われたのがコロンヌ宮でした。



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一番印象に残った街はどこか、と問われて「ローマです」。「あなたは病気だったじゃありませんか。それでもローマが良かったんですか?」「ローマです」。

最後に名残惜しげに後ろを振り返りながら退場するアン王女と、これをしっかりと目に焼き付け、退場するジョー。これがコロンヌ宮で撮影されました。

このコロンヌ宮は今現在も邸宅として利用されており、観光客が見学のために訪れることができるのは土曜日のみ。

公式サイトによると土曜の午前9時15分から午後1時15分まで(最終入場)となっており、ローマの滞在中にもしも土曜日が含まれるなら、一度は足を運んだほうが良いでしょう。というか、その条件がピタリと重なることなんて一生に何度もないでしょうから、もしもそうなったら迷っている場合ではありません。

中に足を踏み入れると、その壮麗さに目を奪われます。ヨーロッパを旅しているとこういう宮殿は何度も何度も訪れるはずですが、それでもいつ見ても富裕層の暮らしは素敵なものです(正直すぎる意見)。
宮殿といえば、壁は絵画でぎっしりと埋め尽くされているのが「あるある」。もちろんここも例外ではありません。
【コロンナ・ベッリカの間】の天井に描かれたフレスコ画はジュゼッペ・キアリの作品で、天空においてマルカントニオ2世が聖処女マリアに紹介されるシーンです。この広間の名称は、その中心に礎を持つ赤色大理石の円柱(コロンナ=一族の姓)から名付けられており、そこに刻まれた彫刻からは古代ローマの生活の様子を伺う事ができます。またこの【コロンナ・ベッリカの間】では、ブロンズィーノ作『ヴィーナスとキューピッド、サテュロス』を始めとする数多くの傑作芸術作品を見る事ができます。そしてミケーレ・ディ・リドルフォ・デル・ギルランダイオによる3つの大作も見逃せません。ブロンズィーノ作品の上にある『夜』と、反対側の壁面を飾る『オーロラ』、そして『ヴィーナスとアモーレ』です。

(公式サイトより)
・・・と、そこまで名匠の作品があるわけではないのですが、視界に絵画ばかりが入ってくるのはそれこそまさに富貴の証です。一般家庭の壁なんて壁紙だけですから・・・。

そして隣接している庭園も見逃せません。庭園といっても急峻な坂の上に泉を設け、水の流れが雅な雰囲気を醸し出します。その坂を階段を使って上ると、頂上ではローマの街を一望することができます。地図を見ていただくと、ここはまさにローマの中心部。そこにこんな坂というか、山というか、とにかく見晴らしのよい場所があるなんて・・・。二次元の地図ばかり見ていると絶対に想像もしないような話ですが、とにかく見晴らしがいいです。

繰り返しますが、土曜しか公開されないのでもし訪問できたら本当にラッキー。私の中ではパリのジャックマール・アンドレ美術館と並ぶレア邸宅であり、一生に一度の経験をすることができました。いやあローマに来られて本当によかった。