引き続き、「とってもやさしい はじめての仏教」に掲載されていた仏教について書いていきます。
仏教が成立したのは紀元前5世紀、インドでのこと。1世紀には大乗経典が成立し、7世紀頃に密教が生まれます。しかし12世紀以後、インドでは仏教が衰退していきます。どうやらヒンドゥー教との対立に加え、イスラム教が浸透していったことが理由のようです。しかし中国では隋・唐の時代に仏教が成熟し、さらに宋時代には禅宗・浄土教が誕生し、民間に浸透していきました。

日本ではどうか。百済から仏教が伝来したのが538年。8世紀に最澄と空海が新しい仏教を展開します。平安時代後半には浄土教の教えも広まります。そして鎌倉時代になると、現在の主要宗派が次々と誕生していきます。平安時代でもなく、室町時代でもなく、なぜ鎌倉時代だったのか。それは、仏教が次第に貴族を中心としたものから、次第に武士そして民衆にまで広まっていったことが考えられます。そして、そのような時代の要請に応えるべく法然、日蓮、親鸞、栄西、道元といった人材が次々と新しい教えを説いてゆきました。

このように、多くの宗派が併存しているのが日本の仏教の特徴です。私達が京都を訪れてお寺を観光するとき、「この寺は何々宗だから建築が云々」ということは普通考えませんが、対立したり武力闘争したりすることなく至近距離に別の宗派のお寺が平然と建っていること自体、世界的に見れば特異なことではないでしょうか。

さて日本の仏教は大別すると6系統あるようです。

1.奈良仏教系:東大寺、興福寺、薬師寺、唐招提寺など。宗派は法相宗、華厳宗、律宗。

2.天台系:最澄が開いた天台宗が中心。比叡山の延暦寺を総本山とする。

3.真言系:空海が開いた真言宗が中心。高野山の金剛峯寺を総本山とそる。

4.浄土系:法然(浄土宗)、親鸞(浄土真宗)、一遍(時宗)らが始めた宗派。

5.禅系:栄西(ようさい)が開いた臨済宗、道元が開いた曹洞宗。さらに中国から来日した隠元は黄檗宗を開いた。

6.日蓮系:日蓮が開いた日蓮宗が中心となる。

このように色々ありますから、普通の人は自分の実家が何系なのかくらいしか把握していないでしょう。宗派は、大乗(多くの人々を悟りに導き救済するため、自己を捨てて修行し仏の境地に達するとする教え)のどの部分を重視するかによって異なっているわけですが、結局念仏をとなえたり、座禅を組んだり修行したりするという点は同じであり、結局のところ「悟りを開いて人間の苦しみから解放される」というゴールもまた変わりません。

・・・じゃあ一体なぜこんなに沢山の宗派があるんだ? とまた話が振り出しに戻ってしまいます。宗派の違いというのはあくまでも手段の違いであって、目的が同じならべつに6つも系統いらないんじゃいないか? 一つでいいんじゃないか? 私はどうしてもついそういう余計なことを考えてしまいます。
それと、観光地でお寺を見ていても、結局そこに到着するまでに結構疲れていたりして、いまいち鑑賞に集中することができないのは毎度のことです。こればかりはまったく克服できません。