スポーツをしていると身長が低いとほとんどの場合において不利になります。なにしろ体が小さいということは、備わっている筋肉の体積も小さいわけであって、絞り出せるエネルギーも小さいわけですからそりゃ競争になったら負けるに決まっています。
マッチングアプリを使っていても、いろいろなユーザーの声を調べてみると身長が低いと不利だという状況証拠は沢山集まります。そもそも結婚相談所とかマッチングアプリを利用して行う婚活自体、見た目は恋愛結婚のラッピングがなされていてもその実態は経済取引という性格が色濃く、つまり学歴とか年収とか見た目とか身長といった「スペック」で、自分よりも格下の男性と結婚する女性はほとんどいません。
例えば年収でいうなら、日経ビジネスに次のような記事が掲載されています。
所得の高い女性に未婚者が多い理由がある。それは、多くの女性は自分よりも学歴や収入がある男性と結婚する、いわゆる「上方婚」を望んできたからだ。女性がキャリアを持てず、収入が少なかった頃には、結婚の「経済的メリット」があった。しかし、女性活躍が進むと、金銭的な魅力は減る。男女の賃金格差が縮まる中で上方婚を求め続けると、収入が低い男性は見向きもされなくなる。結婚への意識を変え、上方婚と逆の「下方婚」を増やすことが、婚姻率を上げるカギと言える。(2024年1月30日記事「男女の賃金格差是正で婚姻率低下も 古い結婚観根強く」より)
「結婚への意識を変え」とありますが、人の心を他人が操作することはできませんから、女性のこの傾向が変わることは、私達が生きている間に実現しないでしょう。
さて背が低い人の話でした。脳科学者・中野信子さんの著作『脳の闇』によると、脳という器官は大変燃費が悪く、ブドウ糖は全身の消費量の18%、酸素は25%も消費してしまいます。つまりあまり動かさない方が負荷がかかるため、自分で意思決定するより人任せにしたほうが得策になってしまうそうです。そのため、何かを信じるときに、対象をしっかりと吟味するわけではなく、論理的にジャッジしているわけでもないのです。
実際、「大きな体の人」が、「大きな声」で、「自信たっぷりに話す」と、人はいともたやすくその話を信用してしまうそうです。心理学の実験でも、リーダーを選びなさい、というテストをしてみると、ロジカルに話をする人ではなく、体が大きい人が大きな声で自信たっぷりに話す人が選ばれるという結果が出ています。
逆に、顔が見えるグループのなかでは、根拠をもって論理的に話す人はむしろ敬遠される傾向すらある、とこの本に記されていました。
根拠をもって論理的に話すということはとても大切なことであり、私は日々それを心がけています。
しかしそういうことをすると逆に敬遠されます。なおかつ私(男)の身長は156cm。不人気確定だな!
ちなみに脳に負荷がかかるということを私達が実際に知覚するときには「しんどい」「面倒くさい」という感情が現れるようです。日本は憲法で自由が守られています。でも本当のところは、誰かにやってもらったほうが脳としては嬉しいわけです。私は中野信子さんの著作を読むと、必ず人間に期待するのをやめようという気になりますが、『脳の闇』を読んでみてますますその思いが強くなりました。
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