びっくりニュースを見つけてしまいました。

東京都が独自のマッチングアプリ開発を進めている。

今夏にも実用化の予定だ。少子化を背景に「婚活」促進に取り組む自治体は多いが、都によると、アプリ開発は珍しいという。信頼性を高めるため、都は、独身であることや収入の証明まで義務づける。

都によると、登録するには、顔写真付き本人確認書に加えて、独身証明書か戸籍謄(抄)本の提出が必要。事前面談も課す。身長、最終学歴、仕事内容、所得など15項目の個人情報も、事前入力して相手が見られるようにする。有料を視野に検討中という。

登録の厳格化の理由に、都は、犯罪や虚偽記載といった「トラブル防止」を挙げる。出会いの場としてマッチングアプリの存在感は増しており、都は「関心があるのに結婚できていない人が多いなら支援したい。従来のアプリに不安があった人に、行政への安心感で、婚活の一歩目を踏み出してほしい」とする。

源泉徴収票など所得証明書の提出も義務づける。アプリ業界に詳しい関係者によると、低所得者や無収入の場合、アプリでのカップル成立の可能性は一般的に低いという。行政の対応としては、「低所得者の収入を上げる施策が必要ではないか」という指摘もある。

都は、アプリ開発を含む結婚促進事業に2023年度は約2億円、24年度は約3億円を予算計上している。

( 2024年6月4日 14時10分 朝日新聞デジタル 「東京都、マッチングアプリ実用化へ」)
見た瞬間、「やめとけ」と思いました。確かに従来のマッチングアプリは結婚しているのに独身者を装ったり、仮想通貨の仕組みを悪用した詐欺師がいたり、ぼったくりバーに連れ込もうとする女がいたり、マルチ商法の手先がいたりします。

ゆえに、登録の時点でそういう奴らを排除するのは分かります。ただ厳格化すればするほど、普通の結婚相談所と変わりがなくなってしまいますが。

東京都が人口減少を念頭に置いているのでしょう、こうしたアプリをリリースするのは一見いいように見えてしまいますが・・・、私はマッチングアプリや結婚相談所を使ってみた結論として「選り好みを助長して、かえって結婚できなくなるからやめておきなさい」としか思えないのでした。


地獄への道は善意で舗装されている

いいことをやったつもりなのに、かえって悪い結果になる。ドイツのことわざ「地獄への道は善意で舗装されている」はまさにそれを指しています。

私のブログの「マッチングアプリ」カテゴリで似たような話を散々書き散らしましたが、たとえば東京都立大学准教授・高橋勅徳氏(この先生は婚活をしてみたものの不首尾に終わり、その結果女性が男性を自己都合で次から次へと切ってゆく様子を目の当たりにし、「男性はただ陳列棚に並んで選ばれるのを待つだけの商品でしかない」という本質に気づきました)とそのゼミ生であったオオノリサ氏の共著『婚活との付き合いかた』において、オオノリサ氏は自分のマッチングアプリ体験をこう記述しています。
(プロフィール作成に疲れたので)ひとまずは、「いいね」をいただいた人の中から好みに合いそうな男性を探すことにしましたが、ここでも大きな壁が立ちはだかります。短時間で大量の「いいね」が送られてくることにより、選り好みをすることにすら労力が必要だったのです。

多くの方に魅力を感じていただけて大変ありがたいことではありますが、ある程度捌いても、少し経つとまた「いいね」が大量に溜まり、プロフィールをじっくり見ていてはすべての「いいね」を到底捌くことなどできません。その結果、「いいね」一覧画面に出る写真、名前、年齢、居住地、好みカードから好みかどうか判別していくことにしました。

この判別方法において重要となったのは写真、すなわち相手の外見でした。(中略)「いいね」というアプローチを大量に受け取ってしまうと、より良い外見の人を選り好みしていくようになってしまいました。

(中略)

もちろん、最終的に私はやはり外見より中身という点は婚活でも変わりませんが、マッチング・アプリという極めて特殊な環境に置かれた時には、顔での判断比重が重くなることがわかりました。
この記述からは、男性は「いいね!」を沢山送ることができるようになればなるほど、女性側の採点基準が厳しくなることがうかがわれます。
何しろ「身長、最終学歴、仕事内容、所得など15項目の個人情報も、事前入力して相手が見られるようにする」という仕様であるからには、ひと握りの人材に人気が集中するだろうなということは容易に想像されます。

現に、パートナーエージェントの公式サイトにも
今の日本に、独身の男女はどれくらいいるのでしょう。

平成22年の国勢調査によれば、20~49歳の独身者数は約2千万人と、その前の調査よりも100万人くらいふえています。
その内訳をみると、男性が約1149万人、女性が約850万人と、人口上は男性が300万人くらい多いので、全員が結婚するとなると、男性が300万人あまるという計算になります。

それでは、女性は安泰かというと、そうではありません。なぜなら、多くの女性たちの希望が、数少ないひと握りの男性に集中しているからです。 わかりやすいのが、年収です。女性が男性に求める年収は、600万円くらいが相場だといわれています。

(https://www.p-a.jp/konkatsu-sp/reason-of-topical-popular.htmlより)
と書かれています。「数少ないひと握りの男性に集中している」。繰り返しますが「数少ないひと握りの男性に集中している」。東京都がマッチングアプリを開発することは、まさに「数少ないひと握りの男性に集中している」という景色を税金で作り出すおそれが十分あります。あのー、身長とか(私は男で身長156cm低身長マンですが権利も義務も他の日本人と等しいです)、年収とか職業とか事細かく検索できるようにしたら、それこそ税金で開発された「人間選別マシーン」なんですけど・・・。

では東京都は何をすればいいのか? 冒頭の記事にはっきり答えを書いていますよね。「『低所得者の収入を上げる施策が必要ではないか』という指摘もある」。ほんとそれな。あと「事前面談も課す」。都庁に来いと? だるい。