マッチングアプリOmiaiの運営からメッセージを受信しました。
30回「いいね!」が使えるようになりました。本日から来月のいいね更新日までの30日間、有効となります。-----------------例えば30名に「いいね!」を押すと、男性は、平均的にお相手女性2名とマッチングしています。女性は、平均的にお相手男性7名とマッチングしています。特に、男性の場合、いいね!を押す回数が少ないと、恋のきっかけは始まりません!まず30回の「いいね!」を全て押し切ってください。30回の「いいね!」を押し切って課金されることはありません。お相手とのマッチングは無料です。-----------------
んん? これは逆効果じゃないのか? マッチングアプリという場がますます荒れていくだけではないのか? 私はそう疑わざるを得ません。このアプリを使っていると、いや他のアプリでも同じだと思うのですが、「いいね!」と本当に思えるお相手なんてあまりいません。「いいね!」と思えるお相手がいたとしても、他の人も「いいね!」と思っているに違いないので、私ごときが「いいね!」をしたところで無視されて終わりが関の山でしょう。
でも「特に、男性の場合、いいね!を押す回数が少ないと、恋のきっかけは始まりません!」というので「いいね!」を使い切ろうとするとどうなるか。「投票したい候補者がいない選挙」のようになり、「でも投票用紙を渡されてしまったし、仕方ないからこいつに入れとくか」といった消極的選択をすることになります。
私の場合、1日2回、20人の女性に「いいね!」をすることができていたので、これが1.5倍に増加するわけです。他のユーザーもそうだとすると、Omiai界隈に流通する「いいね!」」が単純に1.5倍に増えます。男性は「いいね!」を使い切ろうとして真剣味のないバラマキに走るのは目に見えています。このため、ただでさえ女性は男性からの「いいね!」をさばくだけでも苦労しているのに、なおさら苦労することになります。要するに「いいね!」のインフレですね。数は増えても1いいねの実質価値が下がるわけです。しまいにゃ第一次世界大戦後のドイツみたいに紙幣が(いいねが)紙くずになったりして・・・。
東京都立大学准教授・高橋勅徳氏とそのゼミ生であったオオノリサ氏の共著『婚活との付き合いかた』において、オオノリサ氏は自分のマッチングアプリ体験をこう記述しています。
(プロフィール作成に疲れたので)ひとまずは、「いいね」をいただいた人の中から好みに合いそうな男性を探すことにしましたが、ここでも大きな壁が立ちはだかります。短時間で大量の「いいね」が送られてくることにより、選り好みをすることにすら労力が必要だったのです。多くの方に魅力を感じていただけて大変ありがたいことではありますが、ある程度捌いても、少し経つとまた「いいね」が大量に溜まり、プロフィールをじっくり見ていてはすべての「いいね」を到底捌くことなどできません。その結果、「いいね」一覧画面に出る写真、名前、年齢、居住地、好みカードから好みかどうか判別していくことにしました。この判別方法において重要となったのは写真、すなわち相手の外見でした。(中略)「いいね」というアプローチを大量に受け取ってしまうと、より良い外見の人を選り好みしていくようになってしまいました。(中略)もちろん、最終的に私はやはり外見より中身という点は婚活でも変わりませんが、マッチング・アプリという極めて特殊な環境に置かれた時には、顔での判断比重が重くなることがわかりました。
この記述からは、男性は「いいね!」を沢山送ることができるようになればなるほど、女性側の採点基準が厳しくなり、顔面偏差値の高い一握りの人しか選ばれなくなるということが容易に想像されます。
おそらく運営は良かれと思って「いいね!」を増量しているのだと思いますが、かえって逆効果であり、環境悪化につながると思います。ドイツのことわざに「地獄への道は善意で舗装されている」というものがあります。良かれと思ってやったことが、かえって悪い結果をもたらすという意味です。「いいね!」増量はその典型例だと言ってよいでしょう。
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