現代のヴァイオリニストの中でも特に卓越した技巧を誇るのがアメリカ人ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーン。彼女がデビューしてあと少しで30年を迎えます。確か、デビューアルバムがバッハの『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』の選集で、その後もベートーヴェンやバーバーの『ヴァイオリン協奏曲』などを立て続けにリリース。録音のラインナップからしてレコード会社(ソニー)の意気込みが伺われます。
2024年にも彼女は来日してリサイタルを行います。私はそのことを事前に知っていました。たしか1度はチラシを見て「あ、来るんだ」と思ったはず。ところがヴァイオリンを練習したりランニングしたり泳いだりブログを書いたり『ラブライブ!』を見たり沼津に行ったり諏訪湖に行ったり帰省したりしているうちにヒラリー・ハーンのことが脳裏から消え去ってしまい、チケットを確保するのを完全に忘れていました。このブログ記事を書いている5月15日には自宅からかなり近距離にある所沢ミューズでリサイタルがあることを改めて知りましたが、後の祭りです。19時開演。記事作成に着手したのが21時20分・・・。
翌日5月16日にも東京オペラシティでリサイタルがありますが、所沢との価格差に驚きます。
何しろ、所沢でのS席は6,700円。東京オペラシティでのS席は14,000円。倍以上の開きがあります。
5月17日には川崎でもリサイタルがあり、こちらもS席は14,000円でした。
察するに所沢ミューズは公益財団法人所沢市文化振興事業団が運営しており、理事長は所沢市長であることから、市の予算から補助のようなものが出ているのでしょう。だからチケット代が安くなっている(が、クラシックを聴かない所沢市民も広く薄く負担している)のでしょう。
それにしても随分高いな、という印象があります。昔名古屋で彼女のリサイタルを聴いた時、たしかチケット代は一番高くても6,000円くらいだったような気がします。彼女が評判を確立するにしたがってギャラも高くなり、チケット代も高くなったのか、近年の歴史的円安の影響で、彼女(のマネジメント)が要求するギャラを賄えない(というか、円が弱くなった)のか・・・。
しかしここまで高いとつい「14,000円払ったとして、これに見合う体験が得られるのだろうか」という疑念が湧いてきます。もちろんコンサートというのは水ものであり、心の底から感動するような体験をすることもあれば(滅多にないが)、帰宅する頃には内容を忘れてしまうということもあります(ありがち)。いっそのこと、在京オーケストラの公演に2回行ったほうがコスパは勝るのではないだろうかとすら思えてしまいます。
ちなみに私が聴いたヒラリー・ハーンの体験ではモーツァルトは「きれいだがそれ以上でもそれ以下でもない」、シベリウスは「すべての細かい音が客席までレーザービームのように飛び散ってきて驚いた」という両極端が存在します。
それにしても今日のヒラリー・ハーンを聴き逃したのは返すがえすも残念です。自分のアンテナが低かった、といえばそれまでの話ですが。
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