たびたび訪れる諏訪湖のほとりにあるのが諏訪大社です。全国にある「諏訪神社」の総本山ということになっています。ということは相当由緒正しき神社ですね。
諏訪大社は諏訪湖の南に位置する上社(前宮と本宮)と北側の下社(春宮と秋宮)の2社4宮で構成される、全国に一万社余ある諏訪神社の総本社です。ご祭神は、出雲大社に祀られている大国主命(おおくにぬしのみこと)の第二子神、建御名方神(たけみなかたのかみ)とその妃神である八坂刀売神(やさかとめのかみ)で、下社ではさらに建御名方神の御兄神である八重事代主(やえことしろぬし)もお祀りしています。(https://shimosuwaonsen.jp/feature/993/より)
私は2024年4月に諏訪大社下社秋宮を訪れ、たまたま宝物殿も見学しました。
ここに収められていたのは、神社ゆかりの品々でしたが、その中に日中戦争・太平洋戦争に従軍した兵士たちのためを思って送られた日の丸の寄せ書きがありました。これも宝物のひとつとされているようです。先の戦争の歴史的意義はさておき、多くの若者が学業や仕事そして家庭をなげうち、戦場に向かいました。彼らの無事を祈り、家族や友人、同僚たちは日の丸の周りに自らの名前などを書き入れました。書き込むことのできる文字数はわずかであっても、どれほど強い思いが込められていることでしょう。そして故郷を離れた兵士たちの何割かは戻ってくることはありませんでした。
さてこのブログは「友だちいない研究所」です。運営者である私には友だちがいません。言うまでもなくこの諏訪湖の旅もいつものごとく一人で訪れました。いや一人だからこそ自分の好きなペースで美術館をめぐり、ランニングし、自転車で諏訪大社まで向かう、という勝手なことができるわけです。人と一緒ならそうもいきません。自分で決断したことをそのまま実行できてしまうのでむしろ友だちいないほうが幸せなんじゃ、としか思えなくなりました。
というわけでたどり着いた諏訪大社宝物殿。この日の丸への寄せ書きを見た瞬間、「この時代に生まれなくて良かった」と思ってしまいました。戦争に行かなくて済んだ、ああ良かった、というわけではありません。
何しろ友だちが多い人は、日の丸をそれこそ包囲するようにびっしり名前が書き込んであるでしょうし、「七生報国」とか「尽忠報国」とか「堅忍持久」みたいなスローガンまで書かれているでしょう。日本の旗の白い部分はほとんどなく、毛筆の文字が連なっています。ああ俺はみんなから認められてるんだ、よし頑張ろうというモチベーションになったことは想像にかたくありません。
・・・しかし私みたいに友だちがいない人はどうなるのでしょう。
大きな日の丸。
これなら何も書かないほうがましなんじゃないの、とばかりに申し訳程度に父と母の名前、あとはせいぜい学校の先生の名前が書いてある程度。
余白はたっぷり。
なんだか見れば見るほど「ワイって友だちいないんや。べつに戦死してもええんや。出征を見送ってくれる人もおらんのや」ということが想像され、自己肯定感が一気に下がります。そうやって暗い気持ちになること間違いなし。ただでさえガダルカナルなのかミャンマーなのか満州なのかどこに送り込まれるのか分かったものではないのにそういう余白だらけの日の丸を渡されたら、「もうタヒんでもいいかな」と思ってしまうでしょう。
やはり私はあの時代に生まれなくてラッキーだったのです。渡辺麻友さんもまだ生まれてないしね。
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