2020年6月1日に突然の芸能界引退を発表した渡辺麻友さん。その時の衝撃は今もなおはっきりと思い出すことができます。その夜にみた夢は渡辺麻友さんを追いかけてどこまでも自転車を走らせるというものでした。よほどショックだったのでしょう。
先日行われた柏木由紀さんの卒業コンサートは、渡辺麻友さんに寄せる思いが舞台設定で表現され、AKBメンバーは彼女の名前を口にすることはなくても変わらない絆を伺わせる感動的な内容だったことが感動を呼びました。AKBを卒業して6年以上経過し、また芸能界から引退してもうすぐ4年が経とうとしているにも関わらず、このようなメッセージを柏木由紀さんは自らの(本来は自分がヒロインのはずの)卒業コンサートに込めました。NHKの朝ドラに出演したという実績を携え、これからまさに来たらんとしていた上り坂の時期をもってその芸能人生の幕引きとした去り際の潔さ、儚さがそれだけ多くの人に感動を与え続けているということでしょう。
近年では、芸能界の特異な体質に光が当たるようになり、一般的な常識が通じない業界であることが広く知られるようになってきました。渡辺麻友さんの引退をめぐって、ある新聞は、彼女の性格が濁った水をよしとしなかった旨の報道をしていましたが、たとえこれが理由のすべてではないにせよアイドル人生をノースキャンダルで全うした彼女にしてみればこれも十分首肯しうる話でしょう。
ブレない姿勢はアイドル卒業後も続いた。飲み会などの会合に参加することも、ほとんどなかった。ついに1つの浮いた話さえなかった。ある意味、女優・タレントとしては「異端」な存在だった。エンターテインメントは時に理不尽だ。必ずしも正義が勝つとは限らない。「うそも方便」がまかり通ることもある。渡辺と”芸能界”の間には、どこかで「ズレ」が生じていたのかもしれない。強すぎる責任感が、中途半端な答えではなく、「引退」という潔い言葉を導いたのだろう。(日刊スポーツ2020年6月2日横山慧氏執筆記事より)
この日の同紙によると、「『今すぐではなく、いつか本人の体調が戻ったら、復帰の可能性はある』と指摘する関係者もいるなど、引退を惜しむ声は多いが、親しい関係者によると、渡辺本人の意志は固いという」とあり、私はもしかすると2、3年待てばと一縷の望みを繋いでいましたが、2024年になっても音沙汰がないということは、つまりそういうことです。
思えばある時のAKBのコンサートに触発され、それまで一切運動などをしていなかった私がランニングを思い立ち、その後フルマラソン完走をついに果たすことになりました。私の人生はAKBで変わり、渡辺麻友さんの姿によって幾度も励ましを受けたのでした。この感謝の念はこれからも変わることはありません。
渡辺麻友さんは30歳を迎えます。まだまだ、自らの後方よりも前方にこそ多くを持っている年齢であり、芸能界を引退したとしてもその経験が無になることはありません。数え切れないほど沢山の人びとを笑顔にさせたという揺るぎない事実(例えば、被災地訪問など)を胸に、これからも堂々と元気でいてほしいと、切に願います。ここに、渡辺麻友さんの30歳の誕生日を心よりお祝い申し上げます。
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