AKB48の高橋みなみさんの2016年春の卒業コンサートに感銘を受けて(謎の理由)、突如としてランニングを始めた私ですがいまだかつてフルマラソンを完走したことはありませんでした。最長記録で20km。ハーフマラソンではなく20km。フルマラソンは「どうせ辛いんでしょ」、と尻込みしていたのでした。しかし、やり残した課題のようにじくじくと心に引っかかっていたのもまた事実でした。

2023年秋に地元岡山に帰省したとき、父から「お前、これに来年出てみないか」と見せられたのが2023年のおかやまマラソンの新聞広告。「あ、これは逃げられないやつだ。もし逃げたら、『なんだその程度の男か、度胸がないな』と思われるやつだ」と思いました。でも聞けばこの大会は抽選制らしく、選外になったら終わりです。しかし毎年2月に岡山県総社市で実施されるそうじゃ吉備路マラソンは申し込めばまず間違いなく出場できるとのこと、私はこれに出ようと決意を固めました。で、念頭に立川市の国営昭和記念公園で30km走るイベントに出場、これを完走して準備に代えました。

そして2024年2月25日(日)、無事完走しました。タイムは4時間51分。けっこう遅いですが、上述のイベントで手渡された自分の走りを分析するICチップの計測結果では1kmあたり6分50秒がフルマラソン挑戦時の推奨ペースだとか。その場合の想定タイムが6時間48分ですから、計算どおりの結果です。

「2024そうじゃ吉備路マラソン」(岡山県、総社市、同市教委、山陽新聞社でつくる実行委、岡山陸上競技協会主催)は25日、総社市三輪の市スポーツセンター一帯を発着点にフルマラソンなど7種目が行われ、計1万956人が歴史ロマン薫るコースを駆け抜けた。

 朝方までの雨も上がり、午前10時の10キロの号砲を皮切りにカラフルなウエアに身を包んだ市民ランナーらが順次スタート。備中国分寺や造山古墳といった歴史遺産が点在する早春の吉備路を力走した。沿道では住民や選手の家族が声援を送り、過去最多の約2600人のボランティアが給水所などで大会運営を支えた。アテネ五輪マラソン代表で元天満屋女子陸上部の坂本直子さんらゲストも大会を盛り上げた。
(山陽新聞2024年2月25日記事「吉備路マラソン 1万956人力走 総社、5年ぶり7種目に復活」より)
開会式直前まで冷たい雨が降っていましたが、なんと出走前に止みました。じつにうまくできています。

というわけで私が走りながら考えたことを書き留めておきます。じつにくだらないことばかり考えています。

フルマラソン完走の感想、というか走りながら考えたしょうもないことをメモしておきます


出走直後:ああ、ずいぶん人がいるな。すごい渋滞だな。みんな俺より速いんだろうな。なんでフルマラソンとハーフマラソンが同時スタートなんだろうな。渋滞するに決まってるな。にしても水たまりが厄介だな。まあ雨が止んでくれただけましだな。ところでさっきの体育館の場所取り、けっこう面倒だな。10時20分出走だったけど、駐車場に8時すぎについてもわりと時間なかったな(トイレの「大」のほうの行列でかなり時間を費やしました)。混雑した体育館でシャツにゼッケンつけるのけっこう難しかったな(こういうしょうもない作業がうまくいかず、地味に嫌気がさします)。

5kmくらいの地点:ローソンが見えてきました。私は「ローソン presents 日向坂46のほっとひといき!」を勝手に思い出してニヤリとしました(まだこのときは余裕があった)。我ながらしょうもない。


ところで、給水所で配られた羊羹が美味しかったです。

10km地点:さすがにちょっとずつ疲れてきました。まあほぼ予想通り。ちんたら、じゃなくて今の1km6分40~50秒くらいをキープすればいいだろう。

15km地点:秋元真夏さんみたいな人を目撃してちょっとやる気が出た。



その人はハーフマラソンだったので途中でコースが分岐して見失いました。

20km地点:もうすぐ半分か。足はだんだん痛くなってきたけど、たぶんこの調子なら完走できるな。

25km地点:まだあと半分も残っているのか。足痛いな。でもこれだけ走ったのに「フル 1周目」ってなんだろう。2周目じゃないのか。コース間違えたのかな。初見の人は不安に思うだろうな。(注:同じコースをきっかり2周ではなく、1周めと2周めでは若干コースが異なる大会でした)。

30km地点:あと12kmか。こりゃ足が本格的に痛くなってきた。呼吸は苦しくないけれど、左ひざが痛くなってきたな。進みたくてもうまく進めないな。たぶんこのあたりだったでしょうか、前述のローソンがまた見えてきました。私はもう一度ローソン presents 日向坂46のほっとひといき!」を勝手に思い出してニヤリとしました。羊羹ももう一度食べました。今度は走りながらでも簡単に食べられるようにパッケージを剥いてくれていました。ボランティアスタッフの皆さんの細かい改善に感謝します。

ここから先はまさに持久戦というか、ここから先が本番というか、足の痛みとか「飽きる」というメンタルとの戦いとなってきます。

一体なんですか、この42.195kmとかいう中途半端な距離は。40kmならまだわかる。2.195って何だよ。消費税か! 中途半端すぎる! クソ。遠いな。まだ33kmか。あと9kmあるのか。そうやって300m走ってはランニングウオッチをチラ見し、また300m走ってはランニングウオッチをチラ見し、というパターン。配給のロールケーキうまい。でもまだ遠い。途中、話をしながら走っているランナーの話し声が聞こえてきました。「呼吸は辛くはないけれど、足の裏が痛い」。ああそうか、痛みの箇所こそ違えども、皆同じなんだ・・・。

あと35km。遠い。いつも7kmを標準距離としてランニングしているけれど、あとランニング1回ぶんと思えば気休めになるか。いやならない。あと36km。あと6kmか。遠い! 早く終われ!!(終わりません) 37km。このあたりはロードサイド店が多いな。東京のワイの近所よりよほど都会や。でもゴールまだか。早く終われ。とにかく終われ。38km。あと4km。辛い。39km。40km競技ならもう終わりなのに、なんだこの2.195kmは。勝手に延長するな。迷惑だ。40km。だんだん腹が立ってきました。沿道の方は「もうゴールが見えてるよ」と応援してくれます。見えません。この場所には初めて来ます。向こうに何があるのか知りません。よく見えません。クソ! こうやって最後の2kmは悪態をつきながら走りました。なんだこの競技は。まさかフルマラソンはナチスの発明品じゃないだろうな。遠い! 早く終われ! どこだよゴールは!! ・・・と思ったらようやくそれらしき建物が見えてきました。きっとあれがゴールだろう。早く終わらせたい一心で猛ダッシュ! なんと1km5分50秒とかいう好タイムを叩き出しました! 我ながらようやるわ。そんな体力がどこに残っていたのか。というわけで、足の痛みに耐えて、なんとかゴール! ゴールした自分はもはや敗残兵! 後は野となれ山となれ。

というわけで、翌日の私は左足がものすごく痛くて歩行に困難を感じました(今も痛い)。

が、なんとか一度も歩かずに完走できました! そうじゃ吉備路マラソンに参加してよかった!!