子供のころ、ファミコン版のドラクエⅣをプレイしていると、クリフトがボスキャラにザキとかザラキを連発する奇癖にイライラさせられることがしょっちゅうありました。効くわけねーだろ!! ザキでボスが死んだらそんな楽なことはねーっつーの!!
当時、ドラクエⅣは「みんながんばれ」とか「ガンガンいこうぜ」のような命令を設定すれば、あとはAIが自動判断して主人公以外の戦闘時の行動を決めてくれるというのがウリになっていましたが、肝心のAIが小学生の自分よりも役に立たないろくでなしでした。よほど不評だったのか、次回作からは「めいれいさせろ」という手動の選択肢が実装され、プレーヤーが個別に「たたかう」とか「じゅもん」とかを選べるようになりました。
そして時は流れ。ファミコンはスーファミになり、サターンとかプレイステーションとかいうものがリリースされ私はゲーム機の進化についていけなくなりました。パソコンの世界ではWindowsが3.1から95になり、98になり2000になりMeになり、そしてXPあたりで進化を止めてくれていても私としては別に良かったのですが(そこから先は利便性の向上を実感できていないので)、Vistaになり7になり10、そして11まで来てしまいました。
AIもどんどん進化し、ドラクエⅣの時代からは考えられないほど。私もウェルスナビというAIを利用した仕組(?)に資産運用を任せていますが、投資した金額に対して40%以上のリターンを得ることができています。私が個別にトヨタとかソニーとかの株を購入していたとしても、ここまで儲かっていなかったはず。
AIすごいな、と思っていたのですが、どうやらアルゴリズムも人間が構築するものであって、これがダメだとやはりダメな結果にしかならないようなのです。
アルゴリズムがダメだとAIはダメらしい
池上彰さんの『知らないと恥をかく中国の大問題』では、AIを進化させるために最も有利な立ち位置にあるのが中国だとしています。たしかに民主主義とか透明性とかのかけらもない国ですから、政府は躊躇せず改革を推進できてしまいます。
ところが、2019年にはアマゾンが日本でニセモノの製品を「おすすめ商品」として紹介してしまった事例もあります。これはAIのニセモノ検査システムを信じ込んでしまったことから引き起こされた事例だとされています。
平成の次の時代の元号はなんだろうと、AIに予測させたプロジェクトもありました。
AIの答えは・・・。
「日安」
だっせ~!!
まるで日本が安いみたいな元号ではありませんか。じつは安倍総理(当時)は「安」の文字は絶対にやめろと指示をしていました。
マスコミの間では、安倍の名前にちなんで「安」や「案」の文字を元号に入れるんじゃないか、という見方がありましたが、そんな噂話が出る段階で、使えるわけがないでしょう。事務レベルの検討段階では、「安」の字が入った元号案もあったようですが、即刻却下しましたよ。「安」の字だけは絶対に使うな、と指示しました。(『安倍晋三回顧録』より)
元号の選定に失敗し、どうしてこんなものを、という国民の声が大きくなれば、元号制度の存立そのものが揺らいでしまうことを危惧した安倍氏は、最初の候補をすべてボツとし、再考案を指示。そのなかで浮上してきたのが「令和」でした。
元号は、天皇陛下を象徴するものでなくてはなりません。私の勝手な思いですが、「令和」という字は、当時の皇太子ご夫妻にふさわしいのではないか、と感じたのです。大正時代は大正天皇とともに、昭和時代は昭和天皇とともに、日本人は歩んできたわけでしょう。時代と天皇は直結していますから、今上陛下、皇后陛下の新しい時代に合った元号として、令和に決めることにしました。(同書より)
ではどうしてAIは思いっきり外したのか。首相官邸ホームページで公開されている「元号選定手続について」というPDF文書によると、元号の候補を選定するにあたり、
ア 国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
イ 漢字2字であること。
ウ 書きやすいこと。
エ 読みやすいこと。
オ これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと。
カ 俗用されているものでないこと。
という決まりごとがあります。したがって「悪」とか「暴」とか「無」のようなネガティブな文字は用いることができません。これを考慮すると、かなり絞り込みが可能になるはずですが、結果的にはかすりもしませんでした。理由は、AIを予想させるに当たり、『万葉集』をデータにインプットしていなかったからだそうです。
おそらく明治、大正、昭和、平成は中国の古典からの引用だったので、次もそうなるだろうと担当者が考えたのでしょう。『万葉集』やその他の勅撰和歌集もデータに入れてはどうか、というアイデアを担当者が持っていたら、もっと違った結果になったかもしれません。アルゴリズムがダメだとダメな結果しか出てこないという、当たり前ながら残念な事実です。
そもそもAIはデータの蓄積をもとに計算し、もっともらしい結果を示すものであり、人間のように「想像力」を持っていません。「私の勝手な思いですが、「令和」という字は、当時の皇太子ご夫妻にふさわしいのではないか、と感じたのです」という感受性も持ち合わせていません。その意味ではAIは人間よりも「賢い」かと問われると、どうしても「そうかな。違うんじゃないの」と言いたくなってしまいます。
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