2023年もあと1ヶ月となりました。12月といえば冬の賞与支給時期にあたりますから、世の中のサラリーマンは「ワイっていくらもらえるんや」と気もそぞろになり、何を買おうかと想像する人も増えてくるはず。人によっては事前にクレジットカードで買い物して、あとは支払だけが残ったという人もいるようですが。
お金の話といえば、ヴァイオリンというのはやけに高い楽器だというのは知れ渡っています。コンサートグランドピアノでも大体1千万円から2千万円で買うことができます。ヤマハのCFXは希望小売価格が23,100,000 円(税込)であり、河合楽器のSK-EXも同じ価格です。・・・ってわざとお互い同じ価格にしていますね。
しかしヴァイオリンの場合はストラディヴァリウスがオークション価格で10億円(骨董品なので定価が存在しない)程度。千住真理子さんが20年ほど前に推定価格2億円ほどで自腹で購入したことがニュースになりましたが、今から思えばあれが個人でストラディヴァリウスを買えた最後の時代だったのでしょう。
ストラディヴァリウスがそうならグァルネリも似たような価格であり、もう少し価格は落ちますがガダニーニとかベルゴンツィとかアマティ、チェルーティなどは数千万円はするでしょう。プロ奏者が使っている楽器は大体それくらいのものであり、自分のギャラで元を取るのに一体何年かかるのか・・・、ということを計算すると気が遠くなること間違いなし。場合によっては財団法人などから貸与されていることもあるようですね。
アマチュアの場合はまあ高くても100万円程度。弓はその半分~7割程度の価格で購入でしょうか。私は70万円のヴァイオリン、40万円の弓を使っています。毎日練習していると、「うーん、たぶん自分の腕ではこれ以上高いものを買っても使いこなせまい」ということが分かってきます。結局、アマチュアはアマチュアでしかないのでした。
ヴァイオリンを弾くとお金が貯まる怪
ヴァイオリンを弾いているとやけにお金が貯まるようになりました。これは不思議なものですが、自分のものの考え方を整理してみると「たしかにこりゃ貯まるわ」と納得しました。「賞与で何か買おうか」と考えた時、私はこんなふうに壁に突き当たって何も買わなくなってしまうのです。
服でも買うか? いやどうせ友だちいないし、人と会わないなら服買っても意味なくね? それに人と会うだけでも時間がかかる。会うための移動は往復で2時間はかかるだろう。そんな時間あったら音階練習のほうが得だね。
仕事のときに着るスーツはどうだ? いや今6,7着くらいあるし、一度買えば結局10年はもつし、だったらいらんね。
旅行でも行くか? 「ラブライブ! サンシャイン!!」の聖地・沼津の淡島ホテルに泊まるか?
いやいや。沼津遠いし、一泊3万はするし(高級ホテルなんです)、沼津駅からさらにバスで1時間近くかかるし、そんな時間あったら音階練習のほうが得だね。どうせホテルの部屋でヴァイオリン弾いたらクレーム来るだろうしな。
いっそウィーン・フィルの次回来日公演のチケットでも買うか? いや悪くないけどウィーンに行った時に『ばらの騎士』観た時は数百円でOKだったしな(立見席は第2幕から超ガラガラになって、最前列から身を乗り出せば音響的にはS席に匹敵したんです)、それを考えると5万も出したくないな。それにウィーン・フィルは上手いけどそれを聴いても自分の演奏技術が上達するわけじゃないしな。
だったらハイフェッツとかのボックスセットでも買うか? いやハイフェッツは上手いけどそれを聴いても(以下略)。
弦でも買うか? でもエヴァ・ピラッツィ買っても下手な俺には宝の持ち腐れだな。俺には鈴木鎮一推薦(パッケージに古めかしい日本語の推薦文が掲載されている)、4本で2千円台の「タレント」弦で十分だな。数年前は4本で1,800円くらいだったけど最近ちょっと高くなったな(ケチ)。それに1回弦買えたら半年は交換しないしな(手抜き)。別に今買わなくてよくね?
ヴァイオリンの練習のための参考書はどうだ? いや読んだはいいけど結局日々の練習にいまいち反映されてないからあんまり意味なかったな。
結局どんなにお金が増えても自分のヴァイオリンが下手だって事実は変わらないな。クルマ買おうが腕時計買おうが何しようが弾くのは自分だもんな。音楽は買い物とは関係ないよな。でも弾いたら弾いたで下手だし、たぶんこの楽器俺には向いてないな。それにお金があっても死んだ家族にまた会えるわけじゃないしな。あと何十年かしたらどうせ俺も死ぬもんな。大富豪でも死ぬから俺も死ぬな。お金増えても意味ないな。だったら何も買わなくていいな。黙って練習してればいいな。
・・・。賞与のたびに毎回こんなことを考えて何も使わない状態で放置され、毎月の自動設定で投資信託への積立に流用されていきます。そりゃ貯まるわなあ。使い道ないけど。
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