昨今はいろんなものが値上がりしています。食用油、調味料、冷凍食品、数えればきりがありません。文字通り日が暮れます。これは、去年100万円持っていたが、今その貯めていた100万円でかつての95万円分の買い物しかできない、といったような状況です。定期預金だから安心などと思っていると、じつは金利よりも物価上昇率のほうが高いので逆に損!

もちろん値上げしないで頑張ってる企業もあります。例えばセブン-イレブン。なんと、値上げをしない代わりに弁当の容器の底を上げるという奇想を放ちました。社員さん賢いですね。高学歴な感じがします。

などと高みの見物を決め込んでいた私はこんなニュースを目撃してしまいました。

「CodaBow価格改定のお知らせ」


ヴァイオリン弓まで値上がり

ああやっぱりな、と思いました。クロサワバイオリンで取り扱っているCodaBowは、ヴァイオリニストのAyasaさんも使っているシリーズ。確か彼女はDiamond SXではなかったでしょうか。頑丈なのでライブハウスで振り回しても(たぶん)傷がつかないので彼女の演奏スタイルにぴったり。オーケストラの一員としてこの弓を使う場合も、たとえばコル・レーニョ奏法のときなど安心ですね。私はこの奏法を試したことがないので、音色がフェルナンブーコ材を用いた普通の弓と比べたときにどうなのか、と詳しく論じることはできませんが・・・。

このCodaBowというのは、カーボン弓のシリーズであり、初心者からプロまで幅広い層に訴求する(はずの)弓です。ヴァイオリン以外でもチェロの弓などもラインナップに含まれます。木材ではないので加工が簡単であり、湿度がどうしたとか保管状態がどうしたとか、難しいことを考えなくてもOKなのはありがたいですね。

木材じゃなくてカーボンなのか・・・。天然素材じゃなくて人工素材なのか・・・。そう思うかもしれません。でも、例えばグランドピアノのShigeru Kawaiだってアクション機構にカーボンファイバー入りABS樹脂というものを採用しています。それに、ピアノの鍵盤だってもう何十年も前から象牙ではなくアクリルになっていますから、将来的にはワシントン条約で取引が規制されているフェルナンブーコではなくカーボンのほうが主流になるかもしれません。

私が昨年12月に購入したのは最高峰のMARQUISE GSというもの。当時は20万円+消費税=22万円でした。ところが2023年9月から価格改定となり、驚きの27万円+消費税=29万7千円! 驚きの1.35倍!! ここまで一気に値上がりってするもんなんでしょうか? ラーメンが900円から1200円になったらみんな驚くと思います。それくらいの上げ幅です。

ここで注意すべきなのは、「一度上がった物価は、下がるのだろうか?」ということです。失われた30年を経験した日本では、長らくデフレが続いていましたが、これは世界市場類例のないこととされています。それでも物価は横ばいか、商品によってはわずかに上昇しています。例外的に、書籍は規制の壁に守られて20年前と比較すると明らかに値上がりしています。(ここでは、不動産価格の推移は論じないことにします。)

こうした過去の事例を踏まえると、値上がりしたカーボン弓の価格も、きっと下がるまいということが想像されます。要するに自画自賛ながら、私はあの時カーボン弓をえいやあと即決で買っていて正解だったということであり、「いつか買おう」だと「あの時買っておけば」になってしまう可能性があるということであり、要するに「今でしょ!」なのです。

これで賃金も上がればいいのですが、賃金の上昇は物価の上昇に遅れて発生するものですから、こればかりはどうなるかは分かりません。いずれにせよ迷っているなら「買い」だと申し上げておきたいと思います。(ただし、弓はあくまでも音を出す「道具」であり、奏でる自分が下手くそであれば宝の持ち腐れであることは言うまでもありません。)


*ちなみにギターの弦で有名なダダリオがヴァイオリン弦も作っています。安くて助かります。