南北線溜池山王駅で下車して13番の出口を登るとすぐにドトールがあり、道を渡るとANAインターコンチネンタルホテル。目の前の階段を登って道なりに進むのもいいですし、まっすぐ歩いたあとで成城石井の横の階段を登ってもOK。カラヤン広場を抜けるとサントリーホール。
この道順を私は一体何度歩いたことでしょうか。横浜に住んでいた時には横浜~新橋~銀座線溜池山王駅というルートを使っていたはずですが、当時新橋で乗り換えたという記憶がありません。まあそれは本日の記事とは無関係。
このたび溜池山王駅に無人書店がオープンしたというニュースを見つけました。
というニュースによると、
銀座線・南北線「溜池山王」駅の周辺エリアはオフィスワーカーが多く、書籍の需要が見込めるにも関わらず街や駅周辺に書店が欠落していることから、駅ナカ施設でニーズを補うべく、メトロプロパティーズが書店を中心にリーシングを実施。結果、駅立地の出店で課題解決を目指している日販の「ほんたす ためいけ」出店が決まった。
確かにこの周りには書店がなく、いやそればかりか飲食店もあまりない、一体何があるんだという印象があります。さっきドトールと書いたばかりですが、そうではなくてコンサートの前後にサクッと数百円くらいで食事ができるお店があまりないです。というわけでその隙間を狙って書店がオープン。
日販のマーケティング推進部 開発課の南 光太郎 係長は「同店のメインターゲットはビジネスマンで、駅利用者にどのような客層が多いか計測した。男女比5対5で、書店を普段あまり利用しないライトユーザーでも気軽に立ち寄れるよう話題の書籍を集める。数年間かけて実証実験を行い、10坪~30坪(約33m2~99m2)の立地で、街ごとに合わせた本屋をつくっていく」と説明する。
ビジネスマンだが、書店を普段あまり利用しないライトユーザー層をも狙っているように読めます。でも本をあまり読まないビジネスマンってどんな人なんでしょうか。ただ命令されたことをやるだけ(本人にはその自覚がない)ロボット・・・? でも最近は電車の中で本を読む人をめっきり見かけなくなりました。みんなスマホをいじっています。本を読んでるのは一つの車両で私のほか1、2人くらいです。そういう本に馴染みが薄い人を狙っているのでしょう。
日販 マーケティング推進部 開発課の人間が店のメンテナンス・商品陳列を担当。商品の入れ替えは毎日オープンの1時間前に行い、アイテム点数を絞ることでオぺレーションの軽減につなげた。商品ラインアップについては、LINEでアンケートをとって顧客の要望に応える。
アイテム点数を絞ることで作業負荷を減らそうとするのは理にかなっていると思います。担当者がやってきて補充陳列を行う。1時間しかないのであれば多くのことはできませんからね。ただ「アイテム点数を絞る」のが気になります。アイテム数を減らしてそれでもなお黒字化を目指すのであれば、勢いベストセラーを主力にした品揃えにならざるを得ず、質の高い文芸作品や専門的な内容の本はこぼれ落ちていくだろうということはなんとなく想像がつきます。まあ、ここはジュンク堂書店でも紀伊國屋書店でもなく、あくまでも通勤途中にフラッと立ち寄ってサッと買って出ていくスタイルを想定しているはずですから、ある程度の割り切りはやむを得ないでしょう。
どの業界でも人材確保が課題になりつつある中、このような運営形態の無人書店が普及すればするほど、なおのことベストセラーばかりが目立つようになり、『アンナ・カレーニナ』が読みたければ郊外の大型書店に行くかアマゾン化、ということになるのでしょうか。
ともあれ一度も行ったことがないのにあれこれ論じても仕方のないこと。百聞は一見にしかずですから、次回サントリーホールに行く際にチェックしておこうと思いました。
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