長野県の白樺湖といえば避暑地として有名です。なにしろ東京の最高気温が34度の真夏に、あまりの暑さに耐えかねてやってきた私は、白樺湖に降り立った瞬間


涼しい!


と感じました。宿泊したペンションはエアコンが設置されていなかったものの、その理由はよくわかりました。なにしろ涼しい涼しい。長袖長ズボンで寝ないと明け方に「うー、さっぶー」と目が覚めてしまいます(ワイ調べ)。

私は白樺湖に2泊3日という旅程で滞在しました。目的? なあんにもありません。1年に2,3日くらい強制的に空白期間を入れるのもいいだろうという考えのもと、無目的に訪問したのです。ペーパードライバーだからレンタカーでビーナスラインをドライブなんてのも不可能。湖のほとりでちんたらと1日を過ごす。ただそれだけのために東京からやってきたのです。


事前にネットで調べてみたところ、白樺湖は廃墟になっているとかいう情報も見つかってぎょっとしました。で、実際に行ってみると・・・。うーん、廃墟というか、廃墟じゃないというか・・・。

廃墟だけど廃墟じゃない白樺湖



白樺湖に到着した人は、大抵は湖の北側にあるリゾートローソンに立ち寄るはずです。
この辺りはえらく混雑しています。ぇ。廃墟なのにこの賑わいって何なの? そう思うはずです。じつは2023年4月に「白樺リゾート池の平ホテル」がリニューアルオープンしています。外観からして高そうな雰囲気のこのホテル、これぞリゾートホテルという雰囲気で、(私は宿泊しませんでしたが)くつろげること間違いなし。このホテルの周辺にも遊園地、動物園、温泉、美術館があり、これらを巡るだけで1日は過ごせます。仕事に無視を決め込んで楽しむにはもってこい。しかも標高が高いので高地トレーニングが目的なのでしょう、大学の陸上部員が湖の周りをせっせとランニングしています。これは遊ぶもよしスポーツするもよしっていうナイスな土地なんじゃないでしょうか?

ホテル横のリフトに登るとホテルよりずっと高い場所から白樺湖を見下ろすことができます。山の後ろに山また山が連なり、少しずつ薄い青色になって空に溶け込んでいく様子を見ると「ここに来てよかった」と実感するはずです。

で廃墟はどうなったのか? 

実際に白樺湖を一周すると、閉店したあとそのまま放置されているお店が目立ちます。釣り具(?)の店、ホテル、喫茶店・・・。建物の雰囲気から察するにおそらく平成初期のあたりまでは営業していたはず。ということは経営が傾いてから閉鎖が決定し、そのまま持ち主は取り壊しをすることなくただ朽果てるのを待つばかりとなっているようです。

この他にも、一応営業はしているものの全体的に昭和末期ごろの雰囲気がしており、あまり商売に乗り気でないお店もあります。全体的に湖の西側、南側がそんな感じなのです。一番意味不明だったのが、ガラガラっと店の扉を開けるとおっさんが「店やってないんですけど」。じゃなんでお前はそこにいるんだ?

この他、美術館は美術館で「たぶんこれは別の目的で建設されたものの、一旦閉鎖が決定した建物を転用したんだろうな」という雰囲気が醸し出され、入口からの階段もタイルが剥がれたまま補修されることなく、「予算がありません」という体です。「これからの日本は人口減少が急激に進み、とくに地方都市では税収不足から道路や港湾施設といったインフラの維持がしたくてもできなくなる」といった論調の新聞記事をたまに読むことがありますが、このタイルが剥がれた階段はそんな近未来の日本を象徴するようで、一瞬ゾッとなりました(同じような匂いを失礼ながら釧路と函館でも嗅ぎ取りました)。

このまま白樺湖は時間の経過とともにさらに寂れていってしまうのでしょうか。それともインバウンド需要を取り込んで見事に復活を遂げるのでしょうか。空き家が放置されているというのは私の実家の近所でも見かける光景なだけに、ただ「白樺湖は廃墟だ!」などと無責任なことを書き散らす気にはまったくなれず、むしろこの美しい土地はもっと注目されてしかるべきでしょう。何しろ東京からは往復で1万2千円くらいでアクセスでき、宿泊先としてもホテルのほかペンションも散財しており環境は良好(車があると最高です)。この夏の涼しさをたとえば北海道で求めようとすると往復航空券で一人5万はかかることを思えばコスパ抜群。

いや、あまり褒めすぎると人が集まりすぎてホテル代も高騰しちゃうから、こういうのは人に教えないのがちょうどいいのかも・・・?