2023年7月27日(木)~8月8日(火)まで大丸東京店11階催事場にて「AKB48 大衣装展~オサレカンパニーの世界〜」が開催されています。

これは昨年秋にやはり大丸東京店で行われた衣装店の評判が良かったからそのパート2として行われたものとみて間違いないでしょう。

私は渡辺麻友さんをいたく応援しているので、たとえ気温が37度だろうと38度だろうと行かないという選択肢はありませんでした。そして乗り込んだ大丸東京店。私はそこで信じられない光景を目撃するのでした。まさかこんなことになっているとは。


「AKB48 大衣装展~オサレカンパニーの世界〜」で驚愕。こんなに〇〇が多かったのか!


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この会場は前半後半の2部構成となっており、後半エリアに立ち入ると後戻りができないので注意が必要です。前半エリアは「ラブラドール・レトリバー」とか「So long!」とか「心のプラカード」など、様々な楽曲で用いられた衣装が展示され、後半ではメンバーが会場の壁面に残したメッセージがずらりと並び、主要メンバー卒業コンサートのドレスが展示されています。

画像のとおり渡辺麻友さんの衣装は数多く紹介されており、華奢な彼女の体型にフィットするそのサイズは彼女のファンなら見た瞬間にきっと「これまゆゆのだよね」と分かるはず。
卒業コンサートのドレスといい、歌番組用の衣装といい、その精緻な作りは確かに倉庫に保存しているだけではもったいない! こうして多くのファンが実際に間近で見ることで、アイドルをアイドルたらしめるためにどれほど細かい作業が必要となっているか(つまり濡れ手で粟の商売ではなく、アイドル本人だけでなく多くのスタッフの苦労の上に成り立っているものだと)、誰もが理解できるでしょう。

「11月のアンクレット」「純情ソーダ水」など、多くの衣装を近くから見ることで、私はかつての渡辺麻友さんの舞台上での姿を懐かしく思い起こすとともに、この衣装に彼女は二度と袖を通すことはないのだ、さいたまスーパーアリーナといい横浜スタジアムといい、あの時はまさに「その瞬間」でしか体験することができない一生で一度きりの体験だったのだという事実を改めて重く受け止めるほかなく、もはや何も言うことができずに会場を後にしました。

今回会場に足を運んで驚かされたのが、女性ファンの多さでした。え、あなたたち本当にAKBファンなの? 今までどこに隠れていたの? 秋葉原の劇場でも東京ドームでも幕張メッセでも全然見かけないけど、という雰囲気の女性がやたらと目立ちました。一言でいうと港区女子です。私が入場したのは2023年8月6日(日)ですが、パリッとメイクを決めておしゃれな格好の20代女性が本当に多く、男女比で言うと3:7くらいで明らかに女性が多かったです。

想像するに、学生時代に「ヘビーローテーション」とか「恋するフォーチュンクッキー」がやたらと流行し、体育祭の応援歌がこうした曲の替え歌だったり、TVをつけたら渡辺麻友さんが歌っていたり、という年代で、彼女たちが成長して「青春時代のアイドルを見に行こう」という気分なのでしょう(ひところやけに「セーラームーン」がリバイバルしていたのも似たような事情だと思います)。

そして彼女たちにしてみれば渡辺麻友さんらAKBメンバーが「素敵な衣装を着こなす憧れの対象」であり、とはいえ「あー、よっしゃいくぞー」とかいう(男の自分でもなんじゃそりゃと思う)コールがかかるコンサート会場や、男だらけのAKB劇場に行くのはハードルが高く、他方で百貨店なら心理的ハードルは低いので足を運んでみた、という次第かと想像します。

男性ファンが少なかったのは(この日はたまたま?)、アイドルファンだけではなく、男性全般に言える「衣装」への関心がまだまだ薄いからではないでしょうか。
私自身は人前でヴァイオリンをたまに演奏する立場である以上、舞台に立つ際にはタキシード仮面のような格好をする必要があり、スリーピースのブラックスーツやカフスボタンやシルバーネクタイなどを持っています。ただこれもお客さんのためにそういう服装をしているわけではなく、楽譜へのリスペクトのために行わなければなりません。オーケストラの楽団員が燕尾服などを着用しているのもそのような理由です。
こうしたことから、アイドルの衣装についても「"舞台"という非日常を演出するツールとはどのようなものか?」という観点から大いに興味があり足を運んでみたのですが、これだけ女性客がじつは多いのであれば、もしかするとAKBは女性ファンを取りこぼしているのではないかという気がしました。

この会場はそれほど広いわけではなく、じっくり見ても30分ほどですべて回ることができます。ただし、AKBを長く応援してきた方にとっては、かつてセンターを務めたアイドルがほぼ全員卒業した今、当時のグループの姿を思い起こし、これからのAKBに思いを馳せる、濃密な体験となるでしょう。
私は渡辺麻友さんのことをふたたび思い起こし、過ぎ去った時は二度と戻らないこと、戻らないからこそその「時」は貴重であること、だからこそ一瞬一瞬を大切にしなければならないと痛感し、帰路につきました。