「外貨預金はやめてください。為替を読める人は誰もいません。天変地異とか、政府高官の不用意な発言とかで相場が激しく動くこともあるんです」。15年ほど前、横浜駅近くの三井住友銀行の窓口でそう諭されました。

当時は大変な円安で、1ユーロ160円ほどを行ったり来たりしていました。このまま1ユーロ170円、180円、と推移するのではないかと勝手に想像した私は土日も開いている資産運用窓口で「外貨預金を始めたいんですけど」と相談したら担当者に一蹴されてしまいました。

代わりに進められたのが投資信託でした。投資信託とは、自分で個別に株を買うのではなくて、個人投資家からお金を集めて大きな塊にして、プロのファンドマネージャーが日々トヨタだったりソニーだったり東京電力だったりアップルだったりGEだったり、いろんな株を売買することで発生した収益を個人投資家に還元するというもの。ただしプロに運用させる以上、手数料というものが発生します。個人投資家は株の値上がりで儲かり、運用会社も手数料で儲かる。簡単に言うとそういう仕組みです。

そうか投資信託か。いいこと聞いたな。その場で三井住友銀行が勧めてくる投資信託を即契約・・・なんてことはせずに私は一旦家に帰るその途中で投資信託について書かれた本を買い求めて勉強してみることにしました。

その結果わかったのが、投資信託は手数料ビジネスであり、証券会社が顧客に次々に違う投資信託を薦めて手数料を稼ぐという手法が横行しているという実態でした。その本の著者が色々な投資信託を調べたうえで推薦していたのがセゾン投信でした。なんと購入時手数料は無料、信託報酬は年0.5%程度と当時としては画期的な割安商品でした。しかも調べてみると世界中の株式と債権に分散投資し、基準価額が乱高下しない仕組みを導入しているとか。

よっしゃワイこれ買うは。

そうやって積立を始めた直後にサブプライムローン問題、そしてリーマンショック! 積み立てても積み立てても赤字になっていくという事態に! なんか思ってたのと違うな、と感じながらも「株価が下落しているときにこそ買いを入れておけば後々そのメリットが実感できる」と一貫してメッセージを発信し続けたのがセゾン投信社長(当時)である中野晴啓さんでした。

私はああそうかな、と思いずっと積立を続けました(一定の金額を積み立てるという設定にして、あとは放置していただけなんですけどね)。すると2012年頃から黒字に転換し、いまでは積み立てた金額のおよそ1.7倍の含み益となっています。定期預金ならそのパフォーマンスを得るのに一体何百年かかるのかと考えると、資産をどこに置くのかでその後がまるで変わってくることがよくわかります。

その中野晴啓さんは、なんと親会社のクレディセゾンの首脳から退任を迫られ、2023年6月28日にそのことが正式に決議されました。

「原因は報道された通り、『路線の食い違い』です」
親会社はカード会員を中心にした規模拡大を迫ったようだ。販売方法の変更が必要との考えから、首脳は中野氏に「あんたのやり方ではダメなんだ」という趣旨の発言もしたとされる。

規模を目標にすることや販売方法の変更は中野氏が進めてきた路線の否定にほかならない。だからこそ、中野氏は今こう誓うのだ。
「これから理想的な会社づくりに取り組みます」
中野氏は、「長期投資」の伝道師として知られる。将来的に成長が確実と思われる投資対象を見つけ、いったん投資すればずっと持ち続ける。例えば、この先数十年は人口増が続くため「世界経済」は順調に成長するとの見立てに基づき、その状況に合わせて値動きする投資信託を買って持ち続けるのである。

(2023年7月31日 週刊アエラ「長期投資で「高みめざす」 新会社で再起誓う「積み立て王子」」より)

この記事によると、中野晴啓さんは年内に新会社を設立し、再び長期投資の価値を発信する模様です。私は積立投資としてはセゾン投信のほか、AIに株などを売買させるウェルスナビというものを行っています。さらに、中野晴啓さんが立ち上げるという新会社でもきっと積立を始めるはず・・・。

実際に自分で投資というものをやってみて実感したのが、「口座を開設して毎月◯万円積み立てる」という設定にして、後は放置でOK。投資で成功するのは頭がいいとか悪いとかではなく、「それらしい場所にお金を置くと後は勝手に増えていく」ということでした。

一体なんのこっちゃ、という方はとりあえず何か1冊投資信託について本を読めばもう十分。あとは実践あるのみです。ま、実践といってもほんとに「口座を開設して毎月◯万円積み立てる」設定にするだけなんですけどね・・・。