2023年夏は世界的に酷暑となりました。CNNが配信した記事には次のように書かれています。
世界各地で異常な猛暑が続く今月は、観測史上、最も暑い月になる見通しだ。欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスと世界気象機関(WMO)が27日に発表した。世界の7月の平均気温が記録を大幅に更新するのは確実だとしている。
7月の気温はこれまでの3週間で既に観測史上最高を記録。地球上で12万年ぶりの暑さとなることはほぼ間違いないと専門家は指摘する。
(中略)
地中海沿岸の国では猛暑による山火事のために40人以上が命を落とし、アジアでも熱波による死者が増えて食糧の安全が脅かされている。
「7月の猛暑、観測史上最高に ほぼ確実に「12万年ぶりの暑さ」」より
この記事を書いているのは7月下旬ですが、東京も連日最高気温は37度とかいう無茶苦茶なもの。数週間前にニュージーランドに滞在して「最高気温16度、最低気温9度」の快適な環境を満喫していただけに苦痛は二重です。正直言って、日本は夏と冬の寒暖差が激しく、その分冷暖房を使わなければならないためただ生活するだけで環境負荷が高くなります。1週間ちょっとのニュージーランド滞在で、「日本ってもしかしてあまりいい国じゃないんじゃ」と疑い始めました。自然災害リスクは高く、信頼できない国家がすぐそばに複数あり、老人が多くて子どもが少ない。30年間賃金が上がらず若い世代は将来の展望が見えない。だからますます少子化に拍車がかかる。期限の定めなき雇用とその会社内での人事異動ローテーションという組み合わせのため、クビになるリスクこそ低いものの中年になるとゼネラリストという何の技能もない人材になってしまいがちでますます職業人としてのキャリアがその会社に依存する。そうした不満があっても日本語以外の言語を実用レベルまで到達させるまでのハードルが高く、他の国へ転出していくことが難しい。でもそういうのを「タコ部屋」って言うんですけどね。
そう日本をdisりたくなるほどの、このどうしようもない暑さ。これならエアコンの効いた室内にいるほうがまだマシです。
夏は「行かない勇気」が大事だと思う
この酷暑のなか、東京では様々なイベントが開催されています。
国立新美術館ではテート美術館展。東京都美術館ではマティス展。東京国立近代美術館では「ガウディとサグラダ・ファミリア展」。この展覧会はとんでもない人だかりらしく、7月28日に公式サイトで次のようなアナウンスがありました。
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は、混雑緩和のため8月3日(木)より日時予約制を導入いたします。
現在、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は想定より多くのお客様にお越しいただいており、週末は大変な混雑のため入場制限を実施しています。入場制限時には屋外にまで入場待機列が伸び、お客様には暑い屋外で長時間お並びいただかざるを得ない状況です。夏の間は外気温が高く、熱中症発生のリスクが高まります。また、混雑に伴い、展示室内では作品接触等の事故発生リスクも高まることが想定されます。
このため、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」については8月3日(木)より日時予約制の導入を行うことを決定いたしました。これから会期末に向けて更なる混雑が予想されますので、みなさまの安全、また安全な会場運営のためにも、ご理解賜りますようお願いいたします。
うへっ。大変な混雑のため入場制限・・・。私はルーブル美術館や大英博物館に何度か行ったことがありますが、入場制限が実施されるような混雑に出くわしたことはありません。ルーブル美術館も実はけっこうガラガラなのです。イタリア・ルネサンス絵画とか、モナ・リザとか有名な作品があるエリアは混んでいますが、彫刻とかのフロアはもはや閑古鳥レベルです。
そういうのを知っていると、「週末は大変な混雑のため入場制限を実施しています」がもう世も末レベルのアナウンスとしか思えないのです。クソ暑い東京、1時間かけて(東京は案外広い)汗まみれになってようやく美術館に到着したと思ったら行列を作らされてまた汗まみれになって待機。中に入ったら入ったで前の奴のうしろ頭しか見えねー。はー、2,000円払って他人の頭なんか見たくねー。
・・・行くまでもなくそういう状況になるだろうと想像がつきます。どうやらテート展もサグラダ・ファミリアほどではないにせよ、日時予約制を採用しておらずかなりの混雑だったとか。ロンドンのテート美術館も行ってみるとじつはガラガラなんですけどね。その一部の展示品を見るために酷暑&混雑という苦痛コンボを味わうなんて愚の骨頂(だから私はあまり展覧会に行きたくない。パリやロンドンに行ったほうがいいという立場です)。
こう考えると、夏に無理して出かけるのは、費やされる往復時間、負担する交通費、移動中の酷暑という苦痛、(それが展覧会であれ、ライブであれ)混雑による視界不良という悪条件を考えると、「結局、損」だと言えます。むしろ家で映画でも見ていたほうがよほどいいでしょう。夏は「行かない勇気」も大事だと思う次第です。
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