世の中には、様々な言葉で溢れています。

「吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している」というフィクションの文章。

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し云々」という憲法の前文。

「米軍圧勝! UFO無条件降伏」という東スポの見出し。

「満員電車ゼロ」とかいう公約。

「消えた年金問題は私が残らず解決する」とかいう宣言。

「新潟一のラブライバー」とかいう自称。

「大阪一のお好み焼き」とかいう宣伝文句。

こうした言葉はすべて平等に重みがあるわけではなく、また真偽のほども不明ですから安易に飛びついてはいけません。「大阪一のお好み焼き」と看板に書いてあるからといって、本当に大阪一のお好み焼きが食べられると思ったら負け。これは店長が勝手にそう言っているだけであって、大阪一美味しいかどうかはお客さんが決めることです。

このように「そいつが勝手にそう言ってるだけだ」という言葉は世の中に沢山あります。
マッチングアプリの宣伝文句も同じです。
某マッチングアプリ公式サイトには「累計2000万登録突破」とか「毎月13,000人に恋人ができています」と謳われています。なんだかバラ色の未来が広がってるみたいですね。本当でしょうか。


マッチングアプリの「付き合う確率」は眉唾ものである

累計2,000万というと、日本人の6分の1に匹敵します。そんなに沢山の人がこのマッチングアプリを使っているのでしょうか。朝日新聞の部数は400万、少年ジャンプは130万部(最盛期で650万部)。こういう数字と比較するとなんだか違和感を感じませんか。

別の数字を持ち出すと、紅白歌合戦の平均視聴人数が2900万人(2021年12月31日放送回)。となると紅白歌合戦には一歩劣るが、このマッチングアプリもまた「国民的」なのでしょうか? そんなばかな。1人で5回登録したら「5人」と集計されるとか、何かしらの数字のマジックがありそうですね。

さらには、
1年以内にマッチングアプリを利用したことのあるユーザーで、交際まで到達できた人は53%でした。
交際まで到達したデータを年代別で確認すると、20代後半~30代前半の交際到達の割合が55%~60%高い結果でした。
結婚を意識する年代の交際到達割合が特に高くなるようです。

(PR TIMES「マッチングアプリで付き合う確率は5割以上!利用者400人の内83%がアプリで出会えると回答【2022年3月調査】 」より)

本当でしょうか? 私は別の数字も知っています。それは、2023年にBuzzFeed JapanがYahoo!ニュースと実施したアンケートです。これによると
アンケートで「アプリを通じて実際に何人と会ったか」を尋ねたところ、最多が「1〜3人」で34.9%。続いて、「0人」で33.1%、「4〜6人」が10.7%だった。

さらに「どの段階まで交際が発展したか」を聞いた質問では、「交際」まで進んだ人が8.6%、「婚約・結婚」した人が4.4%いた。
おかしいですよね。
「1年以内にマッチングアプリを利用したことのあるユーザーで、交際まで到達できた人は53%でした。」と「どの段階まで交際が発展したか」を聞いた質問では、「交際」まで進んだ人が8.6%、「婚約・結婚」した人が4.4%いた。」は符号しません。

ニュースソースが異なるとはいえ、ここまで数字が乖離するというのはどう見ても不自然です。ここには「付き合う」の定義が違っているとか、調査対象の母集団の属性がまるで違う・偏っているとか、非現実集計方法を採用しているとか、色々な理由があるのだろうと推測されます。

これは結婚相談所のセールスポイントにしたがる「成婚率」のばらつきが多い問題と同様ですね。結婚相談所により成婚の定義だけでなく、計算方法も異なるため単純比較は不可能です。経済産業省の調査では成婚率は10%程度ですので、これを参考にするしかないでしょう。

それにしても世の中にはなんと胡散臭い言葉や数字で満ち溢れていることか。
「ああ、これはこいつらが宣伝のためにもっともらしいことを言ってるんだな」くらいに受け止めるのが吉でしょう。